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児童労働の実態を知って
行動せずにはいられない
写真 特定非営利活動法人ACE 代表
岩附 由香
さん
いわつき・ゆか ●1974年東京都生まれ。上智大学卒業、大阪大学大学院国際公共政策研究科修了。大学院在籍中の97年に任意団体ACE(エース)を発足させ、代表に就任。会社員、通訳などの職と並行してボランティアで活動を続け、2007年から専従でACEの活動に従事。ACEは05年にNPO法人化し、10年に認定NPO法人となる。現在、児童労働ネットワーク事務局長、(特活)国際協力NGOセンター副理事長、(特活)日本NPOセンター評議員、桜美林大学大学院兼任講師なども務める。6月12日(日)の「児童労働反対世界デー」には東京の文京学院大学にて映画上映会&シンポジウムを予定。ウェブサイト(http://acejapan.org) ツイッター(yuka_iwa)

 旅先のメキシコで出会った一つの驚き。それは、交差点で信号待ちをしている岩附さんの元に、紙コップを持ってお金をねだる5歳くらいの子どもたちが近寄ってきたことだった。すぐ近くには母親らしき人がいる。なぜ子どもにこんなことをさせるのか。大学生だった岩附さんの心に疑問の矢が刺さった。帰国後、リポートを書く過程で児童労働の現実を知る。

 「学校に通うことが出来ず、働かなくてはならない子どもが世界中で2億人を超えていた。私は十分な教育を受けて自分の可能性を探せるのに、この子たちにはその機会も無いのかと胸が痛みました」

 これはおかしいという疑問に突き当たった岩附さんは大学院へ進み、方向性を手探りする中で、世界100カ国以上で児童労働撤廃と教育の実現を求めているキャンペーンを知る。行動は早かった。自ら任意団体ACEを立ち上げ、1998年には大阪と東京で日本初の「児童労働に反対するグローバルマーチ」を実現してしまう。

 「簡単ではなかったですよ。デモ行進は初めてなので、労働組合の方に教えてもらって(笑)」

 一つ花火は上げた。そのあとACEを存続させたものの、何を仕事にするべきか迷う時期が続く。

 「ACEと仕事の両立のため時間に自由がきく通訳になろうと学校に通っていたある日、先生から『どんな通訳になりたいか作文を書け』と。でも書けなかった。その時、自分が本当にやりたいことはACEの活動なんだと気づいたんです」。自分の気持ちにも、現状にも背を向けない決意を固めた。

 児童労働問題の取り組みに賛同してくれる企業や個人を増やしていくこと。現地で実際に子どもたちを学校へ促す地道な活動をすること。はっきりとその具体的な目標と実現の数値を掲げて、岩附さんは動き始め、成果を出していく。

 「児童労働の要因は貧しさだけではない。子どもが学校へ行く必要を大人が感じていない地域もあるのです。でも現地で理解を求め、子どもの喜ぶ様子が分かってくると村が変わる」

 周囲を巻き込む、明るい力を放つ人である。

(5月30日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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