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現代人をときめかせる
美しい陶芸へ向かう
写真 陶芸家
青木 良太
さん
あおき・りょうた ●1978年富山県生まれ。2002年多治見市陶磁器意匠研究所卒業、岐阜県土岐市にスタジオを持つ。04年スイス・ジュネーブにある芸術学校に研修生として招かれる。02年のテーブルウェア・フェスティバル最優秀賞・東京都知事賞、朝日現代クラフト展奨励賞をはじめ、オーストラリア、ハンガリー、韓国など国内外で受賞多数。08年には台湾国際陶芸ビエンナーレで特別賞を受賞した。また陶芸業界を盛り上げるために、日本の若手陶芸家集団「IKEYAN★」を主宰している。オフィシャルサイト http://www.ryotaaoki.com/

 若手のクラフト作家を特集したムック本で、初めて青木さんの器を見たのは2004年のことだった。紹介されている、手作り感や日本らしい情感があふれる数百ほどの陶磁器作品の中で、スタイリッシュなシャンパン色のすっきり洗練された器が異彩を放っていた。数々の受賞歴を重ねながら、青木さんは今日も日本若手陶芸家の最先端を走っている。

 好きな事で食べていけたらと、大学時代から服やアクセサリー作りを手がける。美容師もいいかも知れないと思ったが、どちらにしても美的な感性を磨こうと陶芸教室へ。

 「そこで初めて焼き物用の土を触ったら、体に電気が走るような衝撃を受けました。一瞬にして自分が探しているものだと分かったんですね。これしかないと」

  大学卒業後は、岐阜県多治見市が運営する陶磁器の研究所に入学する。突き詰めるべきは「自分の陶磁器」。土をこね、技術を習得しながら、世界を広げるためにさまざまな本も読んだという。そしてついに、青木さんだけの釉薬(ゆうやく)のある新しい使い方を発見する。

 「僕は、釉薬を後からかける伝統的な焼き物が好きじゃなかった。あの厚みや光り方とかが(笑)。もっと繊細で、土そのものが光を透過させるような美しさを作りたかったのです。そして土に釉薬を混ぜ込む技法にたどり着きました。毎日実験し続けて2年かかりましたね」

 その作品は伝統を誇る陶芸界を驚かせた。若い才能が躍り出た瞬間である。自身を「釉薬オタク」と呼ぶほど、今もほかの陶芸家の数倍という膨大な種類の開発を続け、新しい表情を作り出している。

 「現代の美は、今を生きている人間にしか作れない。陶磁器だって、安土桃山時代の美とはまた異なった、現代生活にふさわしいときめきが必要だと思う。何より僕自身が、美しいものの誕生を見たい」

 陶芸と心中すると言い切る。日本の陶芸の新しいページが、音を立てて開く印象を受けた。

(8月1日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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