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情報は生き物であり
感情とつながっている
写真 (株)ジーワン G-ONE,INC.取締役/
テレビ番組リサーチャー
喜多 あおい
さん
きた・あおい ●1964年兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、出版社勤務、新聞社での有料新聞記事データベース構築、作家秘書などを経て、94年からテレビ番組リサーチャーの活動を開始。情報バラエティーからクイズ、ドキュメンタリー、ドラマまでテレビ番組の企画・制作に必要なリサーチを行う。また、一般企業など広い分野でも活躍中。手がけた主な番組には「行列のできる法律相談所」「それでも、生きてゆく」「ハケンの品格」「なるほど!ザ・ワールド」他多数。著書に『プロフェッショナルの情報術なぜ、ネットだけではダメなのか?』がある。

 早朝から深夜まで隙間なく番組が並ぶテレビ欄。どんなに多忙な毎日でも、つい覗(のぞ)いてみたくなる番組がある。その番組制作のために、求められる情報をクリエーターに提供するリサーチャーの第一人者、それが喜多さんである。構成作家を目指してリサーチャーを始める人が多いそうだが、喜多さんは書くことには興味がなく、ただひたすら情報が好きなのだという。

 「次から次へと調べずにはいられない(笑)、子どもの頃からですね。大学時代には、京都の鹿苑寺金閣の火災を題材に書かれた二つの小説、水上勉『金閣炎上』と三島由紀夫『金閣寺』を自分自身で徹底的に比較しようと、あらゆる資料を集めに集め事実を検証しました。その情報から自分はどう感じるか、確かめてみたかった」

 2人の作家は、一つの事実から全く別のテーマを持つ作品を作り出した。それは一人ひとりが、情報をどう捉えて活(い)かしていくかによる。かつて、ある高名な作家の秘書をしていた時に、喜多さんはその情報処理法に驚く。入手した膨大な資料やニュースを全て「なぜ」「だれが」「いつ」「どこで」「何を」「どうした」というバラバラの素材にして把握し、それを頭の中で自在に引き出して多くの作品に活かしていたそうだ。

 「つまり情報はそのままうのみにするものではなく、ましてや知識でもなく、自分が何を感じるかというフィルターを通して使うものだと気付いたのです」

 インターネットの普及によって情報は圧倒的に増えた。それに振り回されないためには、自分は何のために欲しいのか目的をはっきりさせることだという。テレビ制作の現場なら、フィルターとは番組を作るクリエーターの企画意図であり、視聴者に届けたい「気持ち」だと言えるだろうか。喜多さんは「情報とはコミュニケーションツールです。お互いの気持ちを分かり合えなくては意味がない」と明言する。

 頭の中が高速回転しているようなマシンガントーク。名刺の裏に「当たり」とあるサービス精神。リサーチの「お題」のためなら千里もいとわない情熱。喜多さんを「天性のリサーチャー」と呼びたくなった。

(10月3日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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