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ミツバチが運んできた
新たな強いつながり
写真 農業生産法人(株)銀座ミツバチ 代表取締役社長/
(株)紙パルプ会館 専務取締役
田中 淳夫
さん
たなか・あつお ●1957年東京都生まれ。79年日本大学法学部卒業後、(株)紙パルプ会館に入社。2006年「銀座ミツバチプロジェクト」を高安和夫氏と共同で立ち上げ、07年特定非営利活動法人「銀座ミツバチプロジェクト」副理事長に就任。10年には農業生産法人(株)銀座ミツバチを設立し、代表取締役に就任。著書に『銀座ミツバチ物語 ―美味しい景観づくりのススメ』などがある。2月11日(土・祝)に「都市から農業フォーラム(都市養蜂サミット)」開催予定。銀座ミツバチプロジェクト http://www.gin-pachi.jp

 銀座の真ん中、会社のビル屋上でミツバチを飼い、今年で7年目に入る。周囲からの「むちゃだ」という声がある中で、田中さんはこのプロジェクトをスタートさせた。「人を刺したらどうするんだ」「採れた蜂蜜に汚染の心配はないのか」。当然の疑問だ。田中さんは根気よく説得を続けていった。

 「私はビルのオーナーでもなく、この紙パルプ会館に勤める人間ですから、いったい何をしでかすんだと言われますよね(笑)。私だって、都心のビルの屋上で養蜂ができる場所を探しているという養蜂家と出会うまでは、夢にも考えませんでした。でも、銀座とミツバチという意表を突く話に心が動いた。楽しそうなむちゃじゃないかと」

 ミツバチは危害さえ加えなければ人を刺さない。銀座の周囲には、農薬などに汚染されていない街路樹、日比谷公園、浜離宮、皇居など、実は自然が豊かな環境がある。安心できる蜂蜜が十分に採れる。そして田中さんは養蜂家からの厳しい指導を受け、屋上での飼育に成功する。

 「とても質のいい蜂蜜がたっぷり採れ、それを銀座の一流の技で商品として、お菓子や飲み物、そして化粧品にも使ってくれるようになりました。そうなると次々とつながりが広がっていく。昨日まで縁のなかった人々が仲間になる。それが地方とのつながりにまで発展して、活動が止まらないですよ」

 この活況に至るまでに、実は田中さんの若い頃からの積み重ねがある。社屋は、60年近く貸し会議室やイベントホールを運営しているが、銀座活性化のために、その多くの企画やイベントを田中さんは提案し人をつなぎ続けてきた。

 「いつも何かやらかすやつですかね(笑)。でも大人でも進んで楽しいことに挑戦して、一生懸命な姿を見せたいじゃないですか。縮こまって守るだけではない、心が動くことには踏み込んでいこうと」

 地方の町おこしにも知恵を出す。体がいくつあっても足りない状態になりながら、週末も日本中を駆け巡るそうだ。「日本の産業の底力を信じていますから」。種をまく人だ。

(1月23日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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