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地域に開かれた保育園が
つながり合う町をつくる
写真 「まちの保育園」を運営する
ナチュラルスマイルジャパン(株)代表取締役
松本 理寿輝
さん
まつもと・りずき ●1980年東京都生まれ。一橋大学商学部商学科卒業。2003年(株)博報堂に入社し営業を担当する。06年から、建築企画のベンチャー企業(株)フィル・カンパニーの取締役副社長、09年独立。保育園での仕事を体験後、10年ナチュラルスマイルジャパン(株)を設立し、東京都認証保育所「まちの保育園 小竹向原」を設立して運営を手掛ける。まちの保育園 http://machihoiku.jp

 働く親なら、心引かれずにはいられない新しい保育園がある。広々とした園庭、ガラス張りで天井の高いのびやかな建物、その一角にあるカフェからは焼き立てのパンの香りがする。開所時間内なら夜8時半まで、利用者が自由に保育時間を設定できるシステム、しかも都内の住宅街。かつてない斬新さだ。

 代表の松本さんは賛同者を自ら集め、弱冠30歳の時にこの画期的な保育園を設立した。「保育や児童教育をやりたいと考えたのは大学時代、児童養護施設を訪れたからです。今の一瞬を一生のように過ごす子どもたちを見て、とても大きな可能性を感じました。豊かな環境をつくって、もっと伸ばしたいと思った」

 その思いを実現すると決めて、まず広告会社に入る。保育と教育の要はコミュニケーションだからという理由である。直球だ。さらに、持続的な経営ができなければ意味がないと、ベンチャー企業を立ち上げ、経営に携わる。もちろん、理想の保育園モデルを求めながら。

 「学生時代に出会っていたものがあるんです。イタリアの小都市レッジョ・エミリアで60年以上続く、町ぐるみの保育方式。多くの人々が子どもと接し、音楽とか絵画などの表現活動も楽しんで学べる。興奮しました」

 松本さんがつくりたい豊かな保育園がそこにあった。しかし、安心安全を最も重視する閉ざされた施設がほとんどの日本で、地域の人が出入りする保育園なんてできるのか。親たちはそこに子どもを預けるだろうか。

 「素晴らしいと分かっているなら、実現する手立てを探せばいいと僕は思うんです。理想の保育園構想を熱く語る若い男は、なかなか信用できないかもしれないけれど(笑)、それでも、やってみようと言ってくれる人が一人、また一人とチームになってくれて、大きな夢は動きました」

 開園を喜んだのは親や子どもだけではない。リタイアした地元の大人、主婦、商店の人々、中高生、アート教育を手掛ける人などが子どもたちと共にある。明らかに町の空気が変わったようだ。

 社会事業家の若い行動力は、温かく、胸のすくような未来を見せてくれる。

(6月12日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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