メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ここから本文エリア

朝日新聞デジタル > 転職 > あの人とこんな話

朝日求人ウェブ
朝日新聞に掲載された求人情報
朝日新聞に掲載された求人情報
会員登録   会員登録すると直接応募やwebメールでの
送受信など色々な機能が利用できます。
ログイン  
パスワードを忘れたら ヘルプ
ご利用にあたって お問い合わせ
 
丁寧な食事と仕事は
人柄もつくり出す
写真 (株)NHKエデュケーショナル 生活部 シニアプロデューサー
矢内 真由美
さん
やない・まゆみ ●1962年北海道生まれ。北星学園大学卒業。十勝毎日新聞社を経てNHKエデュケーショナルへ入社。料理番組「きょうの料理」(放送55周年)のプロデューサーとして20年目。2011年に企画制作したNHKハイビジョン特集「北海道 豆と開拓者たちの物語」でATP賞テレビグランプリのドキュメンタリー部門最優秀賞受賞。昨年公開したドキュメンタリー映画『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”』のプロデューサーも務めた。同作は現在も全国の劇場で公開され、自主上映会も受け付けしている(http://tennoshizuku.com)。

 長寿料理番組のプロデューサーになって20年。「番組制作で大切にしているのは、見ている方々の五感を刺激するシズル感と、出演される方の個性です。その人が出演する意義がちゃんと伝わるよう心掛けています」

 番組では、48年前に5人分の材料表記だったものが4人分となり、4年前からは2人分に。日本の家族形態も食事情も変わってきた。「番組で紹介するレシピも、今は展開できる常備菜や作り置きの利くおかずが人気を集めています。時代のニーズを常にキャッチしながら、多少は自分のカラーも加えテーブルクロスを選ぶなどして、番組づくりに携わっています」

 矢内さんは、実は29歳の時に夫を亡くしている。約2年間、ショックでほとんど何も手につかなかった。でも幼い娘もいて、立ち直らなければと思い始めた矢先、今の会社に誘われた。「最初はできる範囲でと思っていたのですが、出演いただく料理人の方すべてがプロ意識が高く、緻密(ちみつ)で創造力もあり魅力的。しかも優しい人が作ると優しい味の料理になり、画面でそれが伝わる。人柄が最後の味つけになる。そんな料理の奥深い世界に魅了されました」

 10年経った頃、料理家・辰巳芳子さんの担当となった。話す言葉一つひとつが宝石のように美しく、ポンポン心に飛び込んでくる。「料理は毎日のこと。その当たり前を大事にすることが人格を形成するのだと教えられました」

 よく20年も同じことをやってきましたねと言われる。「もともと何でもやりたがり屋なので自分でも意外(笑)。でも、今は食という一分野のことをやれるだけで十分だと思っています。料理は命の大切さ、生きる意味すべてを教えてくれる。まだまだ知らない世界があるんです」

 平凡を繰り返せば非凡になる。自らを偽らず、日々の食事と仕事を丁寧に積み重ねていく。自分をワクワクさせる新たなものはそこから始まる。

(4月8日掲載、文:井上理江・写真:南條良明)

さらに古いバックナンバー >>