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「諦めない」は力となり
着実に夢は近づく
写真 極地建築家・研究者
村上 祐資
さん
むらかみ・ゆうすけ ●1978年生まれ、横浜市出身。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程在籍。宇宙や南極など極限環境下における建築や暮らし方を研究。2008〜10年第50次日本南極地域観測隊に越冬隊員として参加。エベレスト・ベースキャンプでの長期生活、JAXA筑波宇宙センターでの模擬宇宙閉鎖実験被験者など様々な極地生活の経験を積む。現在、文化学院講師、ワークショップ「秘密基地ヲ作ロウ。」主宰者としても活躍。

 専門学校の講師をしながら、宇宙や南極など極限環境下の建築はどうあるべきかという「極地建築」のリサーチと研究に取り組んでいる。「月面に基地を建てたい」という思いを実現するためだ。

 とてつもなく壮大な夢。でも村上さんは、思いを行動に移しながら、その夢に着実に近づいている。

 例えば「まずは自分の体を通して極地を経験しておかなければ」と南極観測隊に参加。もちろん簡単なことではなかった。建築分野の研究者の参加枠はなく、それでも諦めず「何とかツテを作ろうと南極関連のシンポジウムや学会で研究を発表したり、関係者に自分をアピールしまくったり」。また、現地で必要なスキルと能力を身に着けておけばチャンスは広がると、特殊車両の資格取得や工作機械の操作など現場で経験を積んだ。

 そんな努力を重ね4年掛かりで南極へ。担当は専門外のものだったが、「待つことから解き放たれ、第一歩を踏み出せるだけでうれしかった」。

 収穫は大きかった。13カ月暮らし、「周囲の環境が厳しいほど、人が生きていくために必要とするのは過酷な環境をしのぐ要塞(ようさい)やシェルターではなく、ごく当たり前に日常が営める環境や作法だと気づけました」。暮らしから生み出される生活のディテールを主軸にすれば、より長く生活できる居場所を月面で実現できると具体的に構想できるようになった。その後エベレストのベースキャンプや富士山測候所でも生活経験を重ね、いよいよ極地での建築設計構想に取り掛かろうとしている。

 途方もない野望だけに心が折れそうになることもしばしば。けれどその不安と向き合いながら踏み出した一歩ならばこそ力になる。「自分の体で積み重ねてきた経験という確かな証しが、次へと向かわせてくれる」。生き生きとした瞳が見つめる先は、2030年、宇宙航空研究開発機構が予定する国際有人月探査計画への参加。いよいよ夢の本丸だ。

(9月16日掲載、文:井上理江・写真:南條良明)

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