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引っ込み思案も、独善的な人も、自分が見えていない。
まず自分を認める、振り返る。そこから仕事も伸びますね。
(株)TJコミュニケーションズ「とも子塾」
今井 登茂子
さん
いまい・ともこ ●東京生まれ。立教大学文学部史学科卒業。TBS東京放送入社、アナウンサーを務める。初代「お天気お姉さん」で40%の高視聴率。キューピーBGMで「ゴールデンマイク賞」受賞。1971年、私塾「とも子塾」開設。コミュニケーションの原点である「ことば」「動作」「心理」の研究を始め、87年会社設立。独自のITメソッドの評価は高く、企業から大学、PTAに至るまで活用されている。主な著書に『感じがいい「そのひとこと」の言い方』(講談社)、『これだけは知っておきたい社会人の基本』(講談社プラスアルファー文庫)、『「仕事もできて好かれる女性」50のルール』(青春出版社)他多数。現代コミュニケーション研究会「ITM21」代表。問い合わせ先:(株)TJコミュニケーションズ「とも子塾」(電話03-3496-1731)
 何か言わなくてはと焦っているうちに話し合いはどんどん進み、これで賛成の人と促されておずおずと手を上げる。あるいは逆に自分一人が意見を言って、誰も反論しない。どちらも後味は苦い。

 「日本の社会では、コミュニケーションの訓練がごっそりと抜けてしまいました。これは技術だから学べば済むことなのです。それを性格だからと勘違いすると袋小路に入ってしまう」

 今井さんは女性アナウンサーの草分けである。高視聴率を上げる存在だったが、がむしゃらな働きぶりで、本人も苦しく風当たりも強かったそうである。こんなに仕事を頑張っているのに、なぜ?

 「私には自分のことも周囲の人も見えていなかったのですね。ただただ羽をバタつかせて必死で飛んでいるだけ。35歳でやっと気づいたの、自分の態度こそ周囲の人を拒絶していたんだって」

 分かってくれない周囲が悪いのではなく、私は私をきちんと振り返っていなかった、と。人となかなか話せない人も同じだと言う。伝え方が下手だという自覚がない。「みんな本来の個性は変えられない。でも人間が互いに認め合える世界共通の方法論はあります。目を見て、笑顔でうなずくというところから始めて」

 そのコミュニケーションの訓練法は、ITメソッドとして段階的に組み上げられた。ごく初歩的なところから国際レベルに至るまで研究は完成している。今井さんのもとにはビジネスマンやOL、経営者、医師、弁護士、凶悪犯罪を扱う刑事といった人々までやって来る。

「相手を説き伏せても何もならない。貝のように黙っていても何も変わらない。人間って心の中では、自分を認めてくれと叫び続けているんです。その相手の声を全身で聞いているよとサインを送ればいいだけなのですね」

 大きな身ぶり手ぶり、あふれてくる笑顔にひき込まれる。そしてこう一言。

 「あなたは真剣に聞いてくれているけれど、目がこわいな(笑い)。うなずく時は声を出すと、もっと伝わるでしょう」

 みなさん、鏡に笑いかける練習がまず必要なのだそう。宿題です。

(7月5日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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