メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ここから本文エリア

朝日新聞デジタル > 転職 > あの人とこんな話

朝日求人ウェブ
朝日新聞に掲載された求人情報
朝日新聞に掲載された求人情報
会員登録   会員登録すると直接応募やwebメールでの
送受信など色々な機能が利用できます。
ログイン  
パスワードを忘れたら ヘルプ
ご利用にあたって お問い合わせ
 
相手を輝かせる熱意は
自らの仕事も輝かせる
写真 フィギュアスケート振付師
宮本 賢二
さん
みやもと・けんじ ●1978年兵庫県生まれ。龍谷大学経済学部卒業。10歳からフィギュアスケートを始め、アイスダンスに転向。日本代表として世界選手権などに出場し、2006年に現役を退き振付師に。橋大輔、安藤美姫、鈴木明子、織田信成を始め国際的に活躍する選手やプロ、ジュニア選手まで多くの振り付けを手がける。また橋大輔選手と共に立ち上げた支援活動「東日本大震災チャリティー演技会」を毎年春に神戸で開催している。

 選手をより魅力的に見せる独創的なプログラムで国際的に注目されているフィギュアスケートの振付師、宮本さん。国内外の名選手から若手まで約50人のスケーターを担当し、多忙で年に350日以上はホテル暮らしだ。

 自身も、カップル競技のアイスダンスで日本代表だった。しかし、選手生活の終幕は望むものではなかった。「パートナーがけがで引退し、五輪を目指す僕は必死で次の相手を探しました。でも競技人口の少ない日本では難航して。つらかったですね。一人で悩んでいた時に通った、実家近くの姫路城公園で見た満開の桜の美しさは、やりきれない思いと共に今も覚えています」

 結局、パートナーが見つからず28歳で引退し振付師に。父からの「今までは自分が1番を目指していただろうが、裏方の立場になるなら常に2番手3番手でいる生き方をしなさい」との言葉が気持ちの切り替えになった。

 宮本さんの強みはフランスで磨いた美しい滑り。そして美術館などで美を学び、水族館では軟体動物の動きにヒントを見いだす独自の感性だ。

 「選手の動きをじっくり見て、美点はさらに美しく、弱点は特徴に変え、より得点が取れるよう、より輝けるようにと心掛けています。選手の状況に合わせ個々のスキルやメンタルが向上するプログラムを、頭がすっからかんになるまで考え抜きますね」

 何より宮本さんには、選手が出来るようになるまで何日でも練習に付き合う情熱と、相手への深い愛情がある。教え子たちが競い合うような場合、試合後に宮本さんが向かうのは敗者のもとだ。

 「試合の独特の緊張感とスポットライトを見つめていると、自分も以前はあそこにいたのにと寂しくなることは今でも正直ある。だからこそ選手には現役は特別な時間であり、今しか出来ないから頑張れ、と伝えるようにしています」

 体験から生まれる愛情のこもった言葉は心に響く。

(9月15日掲載、文:田中亜紀子・写真:南條良明)

さらに古いバックナンバー >>