メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ここから本文エリア

朝日新聞デジタル > 転職 > あの人とこんな話

朝日求人ウェブ
朝日新聞に掲載された求人情報
朝日新聞に掲載された求人情報
会員登録   会員登録すると直接応募やwebメールでの
送受信など色々な機能が利用できます。
ログイン  
パスワードを忘れたら ヘルプ
ご利用にあたって お問い合わせ
 
美容師は人を美しくし
そして、励ますことができる。
Kakimoto arms代表
柿本 榮三
さん
かきもと・えいぞう ●1947年岐阜県生まれ。76年東京・自由が丘に「柿本榮三美容室」をオープン、91年「kakimoto arms」に改名。田園調布、青山、銀座、六本木など今日までに7店舗を展開。ICDワールドコングレス、ヘアワールド、アジアビューティエキスポなどに日本代表として出演し、常にニュー・ヘア・トレンドを発信し続けている。96年に中心メンバーとなって日本ヘアカラー協会設立。著書に『「上質を創る」―すべてはお客様の笑顔のために―』ほか。ヘアサロンの新たな可能性を発表する第7回表参道コレクションが9月26日(火)に開催予定。「表参道コレクション」実行委員会(電話:03-5469-1570)

 きれいに仕上がった髪で美容室を出ると、風さえ心地よく、満たされた気分になるという体験をしたことはないだろうか。それはヘアスタイルが思い通りになったからだと考えていた。しかし、そこにはもっと奥深い心理があることを柿本さんから初めて聞いた。

 「おそらく、美容師ほどきっちりとお客様の個と向き合う職業はないと思います。1対1のカウンセリングからすべて、その方の美しさを引き出す作業であり、同時にどんな自分でありたいと考えていらっしゃるのか、その心の中まで耳を傾ける。

 これほど自分に集中してくれる場所って、ほかに病院くらいしか思いあたらないでしょ(笑い)。人はそれで満たされるものがあるのだと思いますね」

 早くから、ヘアカラーは必ずおしゃれの手段として普及すると見抜いた人。今でこそ抵抗のなくなったヘアカラーも、ほんの十数年前までは白髪を隠すためのネガティブな存在だった。

 「黒髪こそ美しいという価値観は、それこそ何千年も続いてきましたよね。でもある時、町で見かける女性たちの中でヘアカラーをしていきいきと歩く姿を発見した。彼女たちはヘアカラーで自分を輝かそうとしている。ちょうど団塊ジュニア世代です。これは黒髪時代がひっくり返るぞと直感しました」

 柿本さんのヘアカラー啓蒙(けいもう)活動は加速する。中心メンバーとして「日本ヘアカラー協会」を設立したのは10年前だ。今、私たちの髪の価値観は大きく変わっている。

 時代の変化や美のセンスというのは、自分の五感で仕入れてくるものだ、と柿本さんは語る。街並み、ショーウインドー、カフェ、食の変化、ファッション。何がどうと簡単には言葉にできないけれど、微妙に少しずつアンテナに引っかかるものがある。そのわずかな気づきが積もって、自分の中に新しい美の輪郭やヒントが見えてくるそうだ。

 「感覚でわかり、確信になっていき、さらにそれを表現しきれる技術を持たなくてはならない。お客様の個性を励まさなくてはならない。プロの意気がないとできないよね」

 笑顔の向こうに、時代と仕事を見据える鋭い触覚が光る。美の世界は深い。

(8月28日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

さらに古いバックナンバー >>