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仕事は任されるから面白い。
そのだいご味を若い人に。
(株)ドリーム代表取締役、CEO
樋口 道也
さん
ひぐち・みちや ●1962年鹿児島県生まれ。警察官、市役所勤務を経て85年に鹿児島県内に古本店をオープンし、九州で10店舗を展開。96年関東に進出して(有)ドリームを設立し、同年古本店「ほんだらけ」1号店をオープン。98年株式会社へ組織変更し、以後2006年までに国内外に30店舗を展開する。他に留学情報センターや、すしバー、エグゼクティブのための理髪店など業態の異なった事業も展開。ホームページ http://www.dreamsky.co.jp

 「本は心のご飯です」と樋口さんの名刺に印刷されている。子供の頃から、本によってどれほど心を躍らせ、泣いたり笑ったりしたか分からないし、目の前の生活とはまた違った世界があることも本を通して心に刻んできたという。

 樋口さんが日本各地で、そしてオーストラリアなどの海外で展開する古本店「ほんだらけ」は現在30店舗。いつの時代にも人の糧となる本を失ってはならないという願いが凛(りん)とある。

 「鹿児島の田舎町で生まれ育ち、刑事ドラマにあこがれて警察官になりました。その後、市役所勤めを経るも、持ち前の起業家精神が頭をもたげ、このまま人生を終わりたくないと思った。何の知識もないままビジネスができないかと思案していた時、町でただ1軒あった古本店に触発され、弟子入りしました(笑い)」

 やがて独立して小さな古本店を開く。日がな一日客は来ない。ごくたまに若い人が立ち読みに来るだけ。「それなのに1冊、2冊と店頭の本が無くなるのです。実は万引きされていたのに、その万引きという実感さえ持たない素人でした」

 ここからが樋口さんの面目躍如。ある日、万引きする青年を見つけ、穏やかに諭し始めたという。その後も少しずつ声をかけ、話を聞き、やがて彼に店を任せる機会を与えていく。そのように若い人の自立を促しながら、九州で店舗を増やしていった。

 さらに大きな挑戦のために関東へ進出し、現在に至るまで、店長に店を任せて成長を見守るという考え方は変わらない。

 「信じること、任せること。人間は自分の責任で仕事をしてみて始めて、自分の何たるかが分かるし、働いていく力もわいてくると思うのですね。もちろん、経営者としてかなり痛い目にも遭っています(笑い)。裏切られたり、金品を失ったりもします。でもそれは、そんなすき間を生み出してしまった私が悪い。反省し、システムを作り直して再挑戦するだけです」

 各店のスタッフが思い思いに工夫して個性的に運営する店舗。その成果を見守ることが面白いという。樋口さんは、実に太っ腹な教育者でもあるのだ。

(1月22日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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