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障がい者も存分に働ける
福祉と経営の両立へ進む。
ヤマトホールディングス(株)特例子会社
(株)スワン代表取締役社長
海津 歩
さん
かいつ・あゆむ ●1960年東京都生まれ。85年アルバイトとしてヤマト運輸入社。柔軟な発想と実行力を買われ、各地の支店長、マネジャーを歴任。2005年より現職。「障がい者の自立」を目的とし、障がい者を雇用したスワンベーカリーを全国展開している。講演多数。ホームページ http://www.swanbakery.jp/

 宅急便を開発し世に送り出した、あの名経営者・故小倉昌男さんが新たなライフワークとして取り組んだ「障がい者の自立」。月給1万円程度の賃金で働く人が多いことに憤慨し、障がい者が普通に働いて10万円の収入を得られる事業としてスワンベーカリーは走り出した。

 その志を継いでスワンベーカリーの経営を背負っているのが海津さんだ。アルバイトとして20代でヤマト運輸に入社し、日々の業務の中で「ヤマトのDNA」を体いっぱいに育んできた人。

 「問題を見つけたら自分で解決する方法を考える。アイデアを思いついたら、どうぞあなたから始めなさい、と(笑い)。一人ひとりがヤマトであるという社風が徹底していました。だから私も、お客様のため、そして社員のために早朝から荷を届ける『もぎたて宅急便』とか、何があっても60分以内に集荷に伺うとか、また社員の仕事を複数の基準で評価するシステムなどを次々と発案し、自分の任された地域で実行してきたのです」

 競合他社どころか同じ会社の支店同士でも、熾烈(しれつ)な競争を繰り広げる世界。海津さんは、骨っぽい部下たちの心をつかみ、業績を確かなものにする経営の極意を身につけていった。

 「障がい者が働く福祉の現場にも、経営の方法論が不可欠だという小倉さんの考え方には間違いなく賛同できるし、福祉の現状を拓(ひら)いていこうとした強い気概も感じます。

 しかし今でも山ほどいますよ、障がい者がパンを作って月10万円を支払うなんて無理だ、と冷ややかに言い放つ人が。でも人間は働いて自立する喜びを味わいたいのです。無理だと思うなら見に来て欲しい。彼らは早朝からいきいきと働いていますから」 もちろん商品はおいしいから売れる。慈善事業などではなく、経営の原点にのっとった競争力で勝負しているのだ。

 「障がい者は確かにスピードを要する仕事は苦手です。でも誠実で丁寧な、決して手を抜くということをしない特性があります。適材適所で配置し、互いに補え合えば何の問題もないことですよ」

 人には働ける場所が要る。海津さんの筋の通った話に、視点が変わってくる実感を覚えた。

(2月26日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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