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ロボットのいる美しい風景。
その産業化が始まります。
フラワー・ロボティクス(株)代表取締役
/ロボットデザイナー
松井 龍哉
さん
まつい・たつや ●1969年東京生まれ。91年日本大学芸術学部美術学科卒業。91〜96年丹下健三・都市・建築設計研究所勤務を経て渡仏。ロータスフランス社勤務後、科学技術振興事業団研究員を経て、2001年フラワー・ロボティクス(株)設立。ヒューマノイドロボット「SIG」「PINO」で2000年に、航空会社スターフライヤーのトータルデザインで06年にグッドデザイン賞受賞。また、ゲラン、ルイ・ヴィトン、オメガなど多くのブランドとコラボレーションを手がける。07年に開催された「松井龍哉展フラワー・ロボティクス」他個展多数。公式ホームページ http://www.flower-robotics.com

 歴史を作る仕事にたずさわっている、と松井さんはチャーミングな笑顔を見せた。人気者となった少女型ロボット「Posy(ポージー)」、マネキンとして働くヒューマノイドロボット「Palette(パレット)」など、美しいロボットを開発してきた人だ。

 「ロボットと聞くと私たちは人の形をした姿を思い浮かべる。工場などでライン作業をこなす産業用の機械をイメージしないのですね。では人型ロボットはSF映画に出てくるようなパワフルな進化を遂げているかと言えば、まだ未熟で幼いテクノロジーしか持っていません。その今の状態を表現したのが、3歳の少女の姿であるPosyなのです」

 間近で見た彼女は優しく可憐(かれん)な印象で、そばにいるだけで愛(いとお)しい気持ちになる。松井さんは、人型ロボットにパワーではなく、人の心の優しさを引き出す新たな価値を見いだしているのだ。近代科学や工業生産の「力」ではなく「花」のような存在である。

 「これからは、このロボットを人々の暮らしの中で役立てる。あのスティーブ・ジョブズが、エンジニアや研究者のものだったコンピューターを人々の日常生活に浸透させたように。

 だから設計し、スポンサーを募り、実際に製作して販売するメーカーとして、新たなビジネスが動いています」

 メーカーとして製品を形にするには、販路開拓と共に、多くの製作作業を一緒に行う工場や職人たちの力が不可欠だ。会社を立ち上げてから、松井さんはデザイナーとしての仕事を超えて、タフな行動力を鍛えてきたそうだ。

 「真夏の暑い日に、ロボットの板金作業をしてくれている工場にウナギを差し入れたり、屋形船で宴を催したり。それでまた心が一つになっていい物ができる。日本のすばらしいワザがロボットに注がれるのです。暮らしに根付くロボットは、この東京で生まれるべくして生まれますよ」

 世界に類のない優しいロボットと、それを生み出す産業を東京の職人と、そして若い才能を結集して作る。その歴史の歯車が回り始めている。

(3月3日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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