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物を創る欲求は
本気で抱き続けていたい
マルチメディアクリエーター/著述家
高木 敏光
さん
たかぎ・としみつ ●1965年北海道生まれ。家庭用ゲーム機向けソフトの企画・開発、携帯電話コンテンツ開発に関するコンサルティング、携帯電話及びインターネット向けゲームの企画・開発などを手がける。2004年インターネット上でインタラクティブゲーム「CRIMSON ROOM」を発表、全世界から5億アクセスを超える怪物ゲームとなった。著書に『クリムゾン・ルーム』(サンマーク出版)がある。クリムゾン・ルーム公式サイト http://crimson-room.com/

 全世界から5億のアクセスを超えた怪物のようなゲームの作者。熱狂的なファンを持つマルチメディアクリエーターとして高木さんはその名を知られる。だが本来は、文学を志す青年だったそうだ。

 「早くから小説を書きたかった人間ですが、26歳で挫折しました。その頃に、理系の人だけで作り上げているマルチメディアには、ユーモアとか恐怖といった文学性が足りないからつまらないと感じたんです。で、僕の持つ『文学玉』を絞って混ぜれば面白いことになる、と殴り込みをかけました(笑い)」

 その文学玉こそ高木さんの武器となり、作り出す作品は次々と売れ、所属会社の主力となっていく。だが、クリエーター高木さんに、会社が管理職のポジションを用意したあたりから、心の中に抑えきれない熱量を閉じ込めることになった。

 「ドッグイヤーといわれる日進月歩が当たり前のデジタル世界。年齢が高くなると、必死に勉強し、恥も外聞もなく若い部下に聞いて努力しないと、技術がオジサン化するのです。だから会社の方針をくんでディレクションしつつ、若い部下を動かす立場もやむをえない。それでもクリエーティブへのエネルギーって消せないものでした」

 高木さんはそれを身もだえするほどの「創(つく)り欲」と呼んだ。世界を魅了した怪物ゲームは、その創り欲があふれ出たものだ。そして、そこに至る自身の葛藤(かっとう)を小説化する。

 「クリエーターとしての最前線を退いていた間、若い人を育てるために惜しみなく技術や方法論を伝えながらも、私は創作に本気のままで張り詰めていたのですね。だから戻ってくることができた」

 高木さんは、モノ作りにかかわる人間にアドバイスをくれた。どんな仕事にも自分のクレジットを入れ、それを作品として自分に突きつけよ、と。何より大切な、引かない覚悟がそこに刻まれる。

(5月12日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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