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子供たちは本当に寂しいのです。
今、大人が動かなければ
写真 作家/保護司
大沼 えり子
さん
おおぬま・えりこ ●宮城県生まれ。大学在学中にDJを始め、卒業後、東京、仙台を中心にシンガー・ソングライター、DJとして活躍。結婚後、嫁ぎ先である割烹料理店の若女将(おかみ)の仕事をしつつ、保護司として少年や成人の更生に尽力している。DJ.Rosyとして東北地方にある三つの少年院に向けての院内放送「カントリーボーイ」を制作し送り続けている。2007年その生き方が「ガラスの牙」と題してドラマ化。現在、少年を受け入れるための家「ロージーベル」設立に向けて奔走中。講演多数。著書に『この想いを伝えて…』『君の笑顔に会いたくて』(共にKKロングセラーズ)がある。NPO法人ロージーベル公式サイト http://www.rosybell.jp/

 細い体。体重は30キロ台だという。割烹(かっぽう)料理店を切り盛りし、作家として文章を書き、保護司として少年や成人の更生を助けるために奔走し、講演やDJに飛び回る。真夜中にかかってくる少年たちからのSOSには、必ず駆けつける。聞いているだけでめまいがしそうな、濃く、真摯(しんし)な人生である。

 大沼さんの存在が多くの人に知られるようになったのは、その生き方と活動がテレビドラマとして放映されたことが大きい。保護司という仕事で、なぜそこまで必死になれるのか、見ていて驚かされた。この仕事は無報酬でもある。

 「さかのぼれば胸の痛い出来事に行き当たります。息子が小学生だった頃、たくさんの友達がうちに遊びに来ていた。その中に一人、友人と遊ばずにひっそりと私のそばにいる男の子がいたんですね。

 ある日、にぎやかに遊んでいた別の子の大事なキャラクター人形がなくなったという。それをそのおとなしい男の子が持っていた。私は彼が盗んだと決めつけてしまったのです。実は、もらっただけだったのに。彼はどれほど傷ついたか」

 数年してその子が学校にも行かず、すさんだ様子でいる姿を見かけるようになる。保護司をやってみないかと、声がかかったのはちょうどそんな時だった。すぐに引き受ける。

 「悪くなるために生まれてくる子はいない。育っていく中で親や大人に認めてもらえず、自分を大切に思えなくて、寂しさに道をはずれていくのです。私たち大人の責任でそうさせてしまった」

 大人は声をかけ、笑顔を向け、その存在を迎え入れる気持ちを行動で示して欲しいという。少年の寂しさを語りながら、大沼さんは目を真っ赤にした。

 さらに、少年院から引き取り手のない少年を受け入れ、更生と社会復帰を支援するための「少年の家『ロージーベル』」の建設・運営を計画、彼らの母になりたいという。「人は認めてもらうことこそ幸せ」。大沼さんの熱さが社会を動かし始めている。

(9月1日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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