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ほんの少しの個人的な希望。
人はそれで働き続けられる
写真 脚本家
いずみ 吉紘
さん
いずみ・よしひろ ●1968年愛知県生まれ。広告プランナーの仕事を続けながら、99年「ミサイルに翼はない」でフジテレビヤングシナリオ大賞入賞。以後、脚本家として独立し多くの作品を手がける。主なテレビドラマ脚本に「ムコ殿」「恋愛偏差値 〜第2章〜」「夜王」「セーラー服と機関銃」「花嫁とパパ」「ROOKIES」「あんみつ姫」他多数。映画脚本に『GO-CON!』『そのときは彼によろしく』『ROOKIES -卒業-』他多数がある。映画最新作は11月21日公開の『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』。公式サイト http://black-genkai.asmik-ace.co.jp

 心に残る映画やドラマの一言が、時として現実よりずっとリアルだったり、なんとなく言葉にはできなかった感情をくっきりと取り出してくれたりした経験はないだろうか。そこにはいずみさんのように、人の気持ちや時代感覚を確かにすくい取る脚本家の存在がある。

 前職は広告プランナーだった。名古屋にある従業員20人ほどの広告会社で7年間勤め、その後フリーのプランナーとして3年間仕事をしながら脚本家を目指したという。何度もコンクールに応募し、ついに賞を獲得してデビューしたのは30歳。

 「書いても書いても採用されないという時間が長かった。何が求められているのか自分では分からないんですね。3年間続けて、もうこれで最後にしようと応募した作品が道を開いてくれました。もう恥ずかしくなるような2人の少年の物語です(笑い)。でも、今でもそれが一番好きなのですけれど」

 その日から10年間、人気作品を次々と手がけている。制作が決まってからそのテーマにアンテナを張り、毎日過敏なほどの格闘が始まるのだそうである。最新作は、引きこもっていた青年が意を決して就職するが、横暴なリーダーが「定時なんてもんは都市伝説だ!」と言い放つような劣悪な会社という設定だ。インターネットに掲載されていた実話が原作である。

 「若い人の仕事への気後れや、ブラック会社と言われる社会への暗部に視点を向けているのですが、原作には、大層に現代社会に物申すという感じがない。それでいて今を生き抜こうとする気持ちが伝わってくるんですね。

 だから私は、自分も同じように働いてきた経験を手繰り寄せて、崖(がけ)っぷちにいたって大丈夫だよと伝えたい。自分の中に何か一つ小さな希望の種を見つけられればやっていける、働いていけるからです」

 外からどう見えようと、実はみんな一生懸命なんだから。いずみさんはそう言った。

(11月23日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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