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人は面白く、温かい
描かずにはいられない
写真 女優/脚本家/演出家/「東京スウィカ」主宰/「ジバイコ!」会長
比佐 廉
さん
ひさ・れん ●1975年フランス生まれ、東京都出身。自由の森学園中学校・高等学校、劇団ひまわり研究科卒業。10歳で劇団日本児童に入所し子役デビュー。以後ドラマ、CF、ミュージカルで活躍。のち脚本・演出を学ぶ。2001年劇団「東京スウィカ」旗揚げ、女性らしいタッチとユーモラスなせりふで評判に。06年総合ワークショップ「NOVI-Labo」を展開し子役を育成。09年障害者招待公演を行う一般社団法人「シバイコ!」を立ち上げる。3月29日から東京スウィカ10周年記念公演「光の庭」上演予定。ボランティアスタッフや手話通訳者を入れた1公演日もある。東京スウィカ http://www.tokyoswica.net/

 大正時代の薫りがするようなほっそりとした着物姿。人懐こい笑顔とそして物書きの落ち着きが共存している。劇団を20代で旗揚げし、中堅にまで育てて10年を超えた。

 10歳で子役デビュー、14歳でミュージカル集団に所属し、年間3本の出演を続けて18歳で最年少座長を務める。舞台だけではなくテレビドラマ、CFにも数多く出演する多才な少女だった。現在でもタップダンスから中国舞踊まで守備範囲だという。そして演技することに夢中になりながらも、通っている学校では「自分は何になれるのか」と人生の課題を追求する教育を受けた。

 「入学した中学1年生の時から、君たちはそれをつかむためにここにいるのだと言われ、6年間の自分探しに放り込まれました。中1で、もう将来を考えなきゃいけないサバイバル(笑)。ここで文章や物語をつづる手応えを味わい、演じるだけではなく作り手になるのも面白くなった」

 なんとも早熟。受験勉強くらいにしか頭を使わなかったこちらは面食らう。比佐さんは、その後も女優として舞台に立ちながら、自分で自由に作る舞台の実現に向かっていく。気持ちを同じくする女性3人でさまざまなアルバイトをして資金を集め、ともかくも劇団を立ち上げた。役者も照明も舞台装置も友人の力を借りる。初演から3年目、自転車操業だった劇団は黒字に転じる。聴覚障害や知的障害のある人々にも楽しんで欲しいと、舞台に招待するボランティアも長い間続けている。

 「演劇の面白さって、やっぱり人の心の裸、本心をのぞかせることだと思いますね。私は人のおかしみや、隠れている温かさを引っ張り出したい。ムスッとしているおじさんだって輝くもの(笑)」

 自分の頭の中で作った物語が舞台となると、本当に多くの人が走り回ることになる。稽古も長い。それに付いて来てくれる一生懸命な仲間から、作り手がもらう感動がなにより大きいそうだ。公演終了後、たちまち壊される舞台装置を比佐さんは一人観客席で泣きそうになりながら見る。人を愛してやまない、密度の濃い仕事ぶりだ。

(1月31日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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