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誰にも似ていない自分へ
進化していこう、今日も
写真 UCLA歯学部ワイントロープセンターおよび補綴学講座教授/
骨・インプラントサイエンス研究チーム(LBIS)ディレクター
小川 隆広
さん
おがわ・たかひろ ●1965年長崎県生まれ。90年九州大学歯学部、94年同大学院博士課程卒業後、同歯学部補綴(ほてつ)学第二講座助手を経て98年文部省在外研究員として渡米。2002年UCLA歯学部助教授、04年米国カリフォルニア州歯科医師特別免許取得、05年UCLA歯学部准教授(終身教授位)を経て11年同教授。光エネルギー応用チタン機能化における世界的権威。同研究成果とそれに基づくインプラントの機能化技術は臨床応用が開始された。多数の学術研究賞を受賞し、10年には歯科で最も権威ある賞の一つ、William J.Gies賞受賞。日本では、口腔(こうくう)先端応用医科学研究会を創設。

 歯科医療の歴史にその名を刻むことになる日本人、小川隆広教授。歯の治療に用いられる人工歯根、デンタルインプラントと骨の接着力をより確かなものとする技術開発に成功した。これは、チタン性インプラントの性能を紫外線照射によって2〜3倍に増加させる画期的な技術だ。昨年、歯科で最も権威のある賞の一つを受賞し、すでに全世界の治療現場で標準化が始まっている。

 穏やかな物腰、だが全身を耳にしているかのような集中力がヒタヒタと伝わってくる。視線の強さと、人懐こい笑顔が同居する。日本で築いた歯科医師や大学教官の地位、慣れ親しんだ日本の文化や生活を全て捨てて渡米したのは30歳代半ば。それからわずか12年で成果を出した。

 「言語も、文化も、教育環境も全てアウェーの国へ、なぜわざわざ苦しい思いをしにいくのか。その時私は、日本で得たものプラス米国での経験で世界一になれると考えたのです(笑)。まさにそれは和魂洋才。日本人の精神文化と西欧の知識、技術が合わさる時、それは無敵になると信じたのです」

 その直感は正しかった。しかし道は険しく、世界のエリートが持つ戦略的な駆け引きを秘めた言動やジェラシーとも闘ったという。その小川さんを支えたのは、子供の頃から厳しい鍛錬を積んだ剣道だったそうだ。

 「文武両道とは、自分の中に負けない二つの柱を持つこと。和魂洋才もそうですね。互いに支え合い挫折の防波堤になる。若い人たちには、そうやって自分にとっての確かなものを複数組み合わせていくことで、誰にも似ていない『素数的』な特長を目指して欲しいと思います。

 何かに取り組む時は、時計を見ず、時間にとらわれることなく集中する。一方で目標の達成はカレンダーで厳しくチェックする。自らの進化が刻まれたいい年表ができますよ」

 「成功への小川語録」をここには到底書ききれないのが残念だ。日本の医学界に国際競争力をもたらす若い力の育成に新たな情熱を燃やす小川さんの言葉は、真剣な誠実さにあふれていた。

(3月28日掲載、文:田中美絵・写真:南條良明)

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