メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ここから本文エリア

朝日新聞デジタル > 転職 > あの人とこんな話

朝日求人ウェブ
朝日新聞に掲載された求人情報
朝日新聞に掲載された求人情報
会員登録   会員登録すると直接応募やwebメールでの
送受信など色々な機能が利用できます。
ログイン  
パスワードを忘れたら ヘルプ
ご利用にあたって お問い合わせ
 
      

雑誌「ビズ」編集長
八木波奈子
さん
やぎ・はなこ ●1946年北海道生まれ。69年東京芸術大学美術学部芸術学科卒業後、婦人生活社『服装』編集部入社。72年『私の部屋』編集部に転属、82年同編集長。84年マイルーム出版設立、取締役となる。92年インテリア&ガーデン誌『BISES(ビズ)』をスタートし、ガーデニングのパイオニア誌とする。97年「ガーデニング」が流行語大賞ベスト10となり個人受賞。2002年英国チャールズ皇太子の私邸の庭を7回にわたって連載し話題をさらう。BISESホームページ http://www.belier.co.jp/~bises/

   ガーデニングの楽しさとその美しさを日本に紹介し、インテリア&ガーデン誌『BISES(ビズ)』を編集し続けて12年。それ以前の編集者時代を加えると八木さんの編集仕事歴は35年になる。ガーデニングという言葉は、1997年に流行語大賞ベスト10に入った。

 「流行語になったということより、多くの人々が潜在的に求めているものを掘り起こした喜びが大きいですね。私自身が愛するものを共有できる人がいた。毎日の暮らしを大切にする仲間が読者になってくださったような、うれしさ」

 毎年数多くの雑誌が創刊され、そのほとんどがいつの間にか消えていくという厳しい世界にあって、自分の作りたい雑誌をていねいに育て上げてきた。だからこそ記事を読者に提供するというよりも大切なものを分かち合う思いが強い。

 同誌に掲載された美しい庭園や花の写真は、その名を聞くと驚くような高名なカメラマンが撮ったものであり、また庭を披露してくれるのが英国チャールズ皇太子であったりする。それらの記事はみな八木さんの温かな交流関係から生まれてくるのだ。

 「私はその道のプロからノウハウを教わって、こうするのよというような誌面を作りたくはない。ガーデニングをビジネスとするのではなく、自分の手で育て、楽しみ、やがて達人となったような方を追いかけたいのです。彼らの生き生きとした笑顔も一緒に届くように」

 確かに、写真の中で自分の居場所にいる人々は幸せな表情をしている。雑誌の発行は実務やマネジメントなどの水面下の仕事量も多く、編集長の責務は重いはずだが、八木さんのふわりとした話し方は、本当におだやかで優しい。好きなことをつむいできた人の、密度の濃い時間が底辺に流れているようだ。

 「花、庭、暮らしとたどっていくと自然や環境への自分のスタンスも考えなければなりません。声高に環境運動をするのではなく、美しく、健やかで、安らいだライフスタイルを生きる時、私たちはそこに答えを見つけられる気がします」

 ガーデニングは静かに人を変えていく。

(3月29日掲載、文:田中美絵)

さらに古いバックナンバー >>