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「編集しながら生きよう」
 藤原和博が語る仕事-2
写真
人生は一山で終わらない

これからの働き方は
寿命と深く関わる

 あなたは、自分の人生のエネルギーカーブを考えてみたことがあるだろうか。ほとんどの日本人は、中央部がピークで、あとは人生の最後に向かって山なりに下降していくイメージを持っています。これは、明治・大正時代を生きた祖父や、昭和を背負ってきた父親世代と同じ価値観なんですね。子ども時代をゆったり過ごし、兵役や学業を終え、就職や家業を継ぐなどして働き盛りを頑張り通したら、隠居して穏やかに死んでいく。人生は一山というその感覚を、実は今の40代、50代も親の影響を受けて引きずっています。

 しかし、僕が近著『坂の上の坂』で指摘したように、私たちの平均寿命は80歳を超え、後半には祖父や父たちよりはるかに長い20年から30年と続く人生が待っているのです。その年月をどのように幸せに過ごしていくのか、本気で考えなくてはなりません。例えば冷静に考えて、30代の人がこのまま課長になり、次は部長までと直線的な仕事人生をイメージすると、最終的な地位を得た頃には何歳になっていますか。しかも、課長から部長になるような段階で上司が全く合わない人間だったら、悲しいかなあなたの力は半減します。ただひたすら一本道を進んでいくと、人生後半のリスクはおそらく等比級数的に増えていくと思います。

 もっと厳しいことを言えば、これから10年くらいの間に、日本の全ての業種で、20社あった会社が10社になり、その10社のうち半数以上は外資系になるでしょう。すでに自動車や保険、医薬品業界などは、その状態になっていますし、近い将来に他業種も、上司は西欧、韓国、中国、インドなどの外国人になる可能性が大きいでしょう。

 だから、早めに一つ目の山を登らせてくれた「会社コミュニティー」から軸足を移して、50代、60代、70代、80代に必要ないくつかの山を作る準備をしなければならない。

1万時間の法則

 軸足を移すというのは、急に仕事を変えるとか会社を辞めるという意味ではありません。僕は、次の新しい山を作るために、研究でも、本当にやりたかった仕事でも1万時間ほどの練習が基準になると思っています。1日3時間くらい確保できればざっと10年、6時間なら5年、これで一流にはなれなくても二流のトップには立てます。

 つまり10年後のために右足を踏み出して、まず今年1割それをやっておく。来年は左足を出して2割、再来年は3割とスケートのように足を踏み換えながら進み、裾野を作っていくイメージです。新しい山を登る恐怖感もあるでしょう。でも、組織内で自営業者を目指す、投資家目線でものを買っていく、別の土地で生活する方法を持つなど、20代から芽を育んでいって二股にし、30代で三つ、40代で四つくらいの人生を歩めるようにしておいた方がいい。

 高齢化が進んでも、しっかりと役割意識を持って生きていく年長者が当たり前になれば、私たちの社会は豊かになります。一山だけの富士山型の人生から、奥行きのある山々が連なる八ヶ岳連峰型の人生へ、踏み出す時に来ているのではないでしょうか。(談)

ふじはら・かずひろ ●1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、(株)リクルート入社。96年同社フェローとなる。2003年から5年間、都内では義務教育初の民間人校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年、当時の橋下大阪府知事の特別顧問を務めた。主な著書に『人生の教科書[よのなかのルール]』(共著)、『つなげる力』『35歳の教科書』他多数。最新刊に『坂の上の坂』(ポプラ社)がある。「藤原和博のよのなかnet」http://www.yononaka.net