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「あなたを育てるのは自分だ」
 秋山進が語る仕事―2
写真
「仕事ごっこ」を疑おう

あなたは何ができる?

 私が新卒で入社した企業は、内部圧力が非常に強い会社でした。「君のその力こそうちには必要なのだ」と、一人残らず追い込んでいく方法なのですね。ただ上から無理やり指示が下りてくるのではなく、「君のやりたいことは何? この三つの中から選んでくれ」というように一言挟んできます。そうすると本当は自分がやりたいと思った仕事ではないはずなのに、選んだ瞬間から、あたかも自分がやりたい仕事を始めたように頑張ってしまう。心理的手法が実に上手だった(笑)。

 やりたいことでなくても、やるべきことが決まると、人間は能力をフルに使って成し遂げようとする。おそらくそれで仕事の力がついてくるし、引き受ける覚悟ができるようになるのでしょう。心理的に追い込む、きつい会社ではあったけれど、「あなたは何ができるの?」と常に問われ、「それならやってみてよ」と促されて、私はサバイバルしてきた。必要なのは、やると約束した仕事を成功させるために、自分を振り絞るほどの努力だと体験させてもらいました。

 やがて、インターネットへ急激な変化が起きる時に、紙からネットへ変換する構想と基幹パーツを作り、方向性が見えるところまで構築して、「やることはやった」と11年目に退職。一番難しい課題を解決して、もう自分が取り組むべきモノがなくなったという感じでした。ところが、それなりに仕事の腕力を身につけて外に出てみると、何だかみんなゆるく仕事をしている。そんなことで、働きがいを感じられているのだろうか、自分の能力を駆使しているのだろうか、と考えるようになりました。

体育会か、サークルか

 企業は、真剣に利益を出さなければならない存在です。そのためには成果を出し続ける必要があり、働く人には自らの役割を実践することが求められます。意見が対立しても「私個人ではなく、役割として言わせてもらう」と、仕事の筋を通す。新しい価値を社会に提案したいとか、新商品を世の中に提供したいとか、目的実現のためにそのプロセスで社内での摩擦が起きるのは当たり前ですが、ゴールへ向かうために、自分の持つあらゆる力を注ぎ込む企業活動は体育会に似ています。

 ところが、言葉遣いは難しいところですが、全体の雰囲気を大切にする「サークル仕事人」が日本企業には多い。新しい提案で必死になっている営業に対して、「あの場の空気では発言しにくかったから」と援護射撃をしない企画担当の心理は、例えばあなたではありませんか。目的がはっきりあり、自分の役割として力を注ぐべき場面で、お茶を濁すような仕事しかしない人は「仕事ごっこ」というサークル活動をしに会社に来ている人ではないかと思います。

 以前の経験ですが、会計学の研修で、受講生が突っ込んだ質問を次々に投げかけると、困った講師はこう言いました。「普通、大企業の優秀な方は質問などしないんですよね」と。自分の役割を認識せず、アホか、と思いました(笑)。何時間も講師の話を聞いているのは、勉強ごっこをしに来ているからではなく、成果を出すための能力を磨きたいからです。

 一人ひとりが自分の胸に聞くしかありません。「真剣」か、あるいは「仕事ごっこ」かと。(談)

あきやま・すすむ ●プリンシプル・コンサルティング・グループ(株)代表取締役。国際大学GLOCOM客員研究員。1963年生まれ。京都大学卒業後、(株)リクルート(現リクルートホールディングス)に入社し事業企画に携わる。2008年から現職。経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、人材育成などを提供。麹町アカデミア(株)学頭。近著に『「一体感」が会社を潰す −異質と一流を排除する〈子ども病〉の正体−』などがある。