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「あなたを育てるのは自分だ」
 秋山進が語る仕事―3
写真
あの人に聞け、を目指そう

どんな仕事でも
技術職である

 全体の雰囲気を大切にする「サークル仕事人」が多いのではないか。その傾向は強まっていると思います。昔のような腕で生きる職人とか商店経営者が減って、大方が給与所得者ですから、その息子、娘たちは大過なく周りとうまくやっていくことが重要と教わって育った。所属集団の価値観の同質化は進み、相互に拘束し合っているのが今の会社の姿でしょう。

 例えば期待の大きかったスポーツ選手が失敗して賞を逃すも、立ち直って見事な活躍を見せると、翌日は日本全国一斉に「よく頑張った」というトーンで埋め尽くされる。そこで「でも賞は取れなかったですよね」とは誰も言えない雰囲気(笑)、同調しない人は疎ましがられるんですね。

 そういう環境の中で、しかしこのままでは何か物足りない、自分らしい仕事ができていないと考えるなら、「一流の技術者になろう」と私は言いたい。

 技術者というのは、何も理系だけではなく文系も含めて、営業、経理、人事など専門領域を極める仕事人のことです。優秀な経理担当者は、数字を一目見ただけで間違いも隠された意図も分かる。頭の中に体系があり、過去の数字も覚えているから、「うまく操作していますが、営業部のこの好成績は一時的ですよね。会社のために、こんなことは許しませんよ」と見抜いてくる。どんな分野でもいい、あの人に聞けば間違いないという存在になりたいですね。

 会社に残るか外に飛び出すかが問題ではなく、自分なりにやりたいことで技術を研いでいくかどうか。その技術で、勤め先や、あるいは社会に貢献する矜持(きょうじ)を持つかどうかが大事だと思います。

自分取材をして
ピースを増やしていく

 そうは言っても、私自身も専門領域の選択には長く悩まされてきました。仕事の領域で好きなことを探し当てるのは意外に難しい。キャリアの教科書には「自分がやりたい、将来有望そうな領域へ目標を決めて努力する」か、「目の前の仕事に真面目に取り組む中で偶然に出合う、エネルギーを注げる領域を探す」か、と二つのアプローチが書かれています。

 私の場合は、好奇心が旺盛なためにやってみたいことが次々と現れ、活動範囲が拡散してしまった。さすがにまずいと考え、今度は領域を小さく限定して専門知識を追求してみたり、あるいは経験したこともない分野に挑戦してみたり。そうやってありとあらゆる業務を経て、今までの経験と思考のすべてが経営資源として活(い)かせるリスクマネジメントという領域にたどり着きました。「役に立つ」と言ってもらえる、だからこそもっと腕を磨きたいと思う。技術は自分を決して裏切りません。

 若い頃から、仕事について迷ったり、腹が立ったり、他に方法はないかと苦戦すると、私は「取材モード」という習慣で切り抜けてきました。「秋山さん、ほんまはどうなんですか?」と自分に対して、反対意見や細かいところまで突っ込むような取材をしてみる。すると立ち止まっている時とは違う視点が生まれる。こういう棚卸し、自分の洗い出しも仕事の助けになります。(談)

あきやま・すすむ ●プリンシプル・コンサルティング・グループ(株)代表取締役。国際大学GLOCOM客員研究員。1963年生まれ。京都大学卒業後、(株)リクルート(現リクルートホールディングス)に入社し事業企画に携わる。2008年から現職。経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、人材育成などを提供。麹町アカデミア(株)学頭。近著に『「一体感」が会社を潰す −異質と一流を排除する〈子ども病〉の正体−』などがある。