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「まだ、こんなものじゃない」
 小林公一が語る仕事―4
写真
苦境では一回笑う約束

汗をかき手応えを得た
海外公演

 海外公演はヨーロッパやアメリカなどいくつもの経験がありますが、宝塚歌劇団自身が興行主という形で行ったのは、2013年の台湾公演が最初でした。

 日本と台湾双方の政府の力添えもいただいて、劇場の確保、スポンサーとの提携、チケットの販売ルートの開拓など、舞台を作る興行の全てを自分たちで行いました。おかげさまでチケットは完売し、1500席で公演12回、1万8千席が全部埋まって、台湾の方々に喜んでいただいた時には、さすがに自分でもよくやったなと思いました(笑)。次の布石が打てたので、来年また台湾公演に挑戦する予定です。

 これだけ海外公演で歌劇団全員が汗をかいたのは初めてでしたが、楽しくもありました。うちの舞台制作会社と台湾の舞台制作会社が共同で舞台裏を全て担当したのですが、お互いがお互いを尊敬し合い、仲良くなって、毎晩酒盛りをしていたようです。やったかいはありました。これを次につなげ、いずれはアメリカにももう一度公演に行きたいと考えています。

 どこに行っても日本でも、根本的には女性だけの舞台を変える気はありません。それから、関西で作って発信すること。それは守っていきたい。私たちを100年間も育ててくれた関西を大切に考える気持ちがとても強いのですね。

誰にでも次の
ステップは必ずある

 台湾公演のように、挑んだ仕事を終えると達成感は当然ありますが、私はそこで満足に浸らず、さてこれからどうするかとまた次の課題を見つけようとします。やはり、まだまだできるであろうと思うからですね。宝塚歌劇も私も、こんなものじゃないですよと。何だかえらいことを言っていますが(笑)。

 私も失敗をたくさんしてきました。しかし、あまり思い悩みません。やってしまったことは忘れて、気持ちを切り替えて次へ進むほうがいい仕事ができる。今の仕事に一生懸命取り組んでいると、次の段階は必ず訪れますから、くよくよと立ち止まっていなくていいのです。本当にどうにもならないような苦境に立ったら一回笑ってください。周囲からはへらへらしていると見えるかもしれないけれど、笑顔を作ってみれば心も少しは晴れます。苦しい時こそ「この際、笑うてなしゃあない」ということです。

 歌も力になります。私が苦しい時には、ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」の中で安蘭けいさんが歌った「ひとかけらの勇気」が響きます。いろいろとあった時にこの歌を聴くと頑張ろうという気になるのです。どんなに長く仕事をしていても、挑戦しようとする限り苦難はあります。そのあまたの苦難を乗り越えていこうというこの歌が好きです。

 仕事には人間の本気が詰まっているし、また、人の真剣さや乗り越える力を引き出してくれるのも仕事の一面です。とても不可能だと思える踊りや、長いセリフを短期間でものにする生徒は、自分を開拓することを楽しんでいるようにも見える。どうか「まだまだ、私はこんなもんじゃない」と、皆さんも自分に語りかけていってください。(談)

こばやし・こういち ●宝塚歌劇団理事長。1959年大阪府生まれ。曽祖父の故・小林一三氏は阪急電鉄(株)や宝塚歌劇団を擁する阪急東宝グループ(現・阪急阪神東宝グループ)の創設者。82年慶応義塾大学法学部卒業後、阪急電鉄に入社。89年から宝塚歌劇団の制作部門で星組プロデューサーを務め、その後3年間の本社勤務を経て96年歌劇団理事に就任。2000年歌劇団総務部長、02年専務理事、04年から現職。また、14年から阪急電鉄の創遊事業本部長兼創遊統括部長も務める。