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「自分を知らずに終わるな」
 安藤優子が語る仕事―4
写真
十指全部でしがみつくな

今の仕事を懸命に
だが、隙間も空けよ

 今の時代に、就職が決してラクではないことを私も知っています。準備して闘って勝ち取った勤務先は、自分の将来を約束してくれる大切なものの一つには違いない。そこで学ぶ仕事はあなたの土台を作ってくれるでしょう。でも、人間は生きているし、時代は動いている。仕事への気持ちは、年表に書き込んだ人生設計のようにはいかないじゃないですか。

 だからいつも、名刺に会社名も肩書もなく自分の名前だけ印刷するとしたらどうするか、頭の隅に残しておいてほしい。十指全部で今の仕事を握りしめないで、2、3本は自由に遊ばせておきませんか。フリーランスとしての自分を意識しておくと、取り込む知識も増えるし、アンテナがさびないのです。

 怖さはあるかもしれません。かつてフジテレビの人気アナウンサーだった故逸見政孝さんが、フリーランスへの転身を考えていた時に「安藤さん、フリーって怖くないの?」と相談されました。レギュラー番組をいくつも持つこれほどの人気実力者でも、勤務先を辞めたら明日の仕事はどうなるのかと、眠れないほどの不安を抱えて迷っていらした。「怖いなんて考えたこともない、何とかなりますよ」と答えましたが、私は一般の方にでも誰にでも同じことを言います。

 できれば40歳で一度定年と決めて、後半の40年をどうするか、自分に問いかけながら仕事を吸収していくと、必ず意欲が変わってきます。65歳の定年まで勤め上げて後は地域のボランティア、ではなく、全く違う仕事で力強く働く40年です。社会は、企業によって所属が仕切られているわけではないし、途中で辞めることを落ちこぼれと感じるならそれはただの思い込みです。自分の頭で、社会が求めるものを仕事として柔軟に見据えていってほしい。

自分の深掘りを
やめないで

 若い人は、グローバル時代に乗り遅れないように英語力や交渉力を鍛えなくてはと言う。でも、完璧な英語力はネーティブにはかなわないし、通じればそれで十分です。それより、グローバルで抜きん出ていくのは、極められたローカルだと知ってほしい。そこそこ世界水準に追いついた商品より、例えば新潟の燕三条の銀製品やその土地の郷土食のように、徹底的にその地元でしかできない個性が世界市場で勝てるのです。

 仕事をする人も、平均を超えた偏差値に追いつこうとするより、自分の実力と個性を一つにする努力をするべきでしょう。勘違いしてはいけないのですが、仕事の個性とは、社会で通用する公の能力にまで育てなければ意味が無い。役に立つ個性を掘っていかなくてはなりません。ツイッターなどで「こんな映画が好きです」とか「私的には、この料理がヒットすると思います」などと私見をつぶやくようなレベルでは、仕事の足しにはなりません。「私」らしく生きていけばいいという、私生活の個性とは土俵が違います。

 仕事の個性を支えるには技術的な土台がいります。営業力や話す力、人をまとめる力、書く力、物を作る力、デザインする力など、きっと誰もが何か持っている。それを面白いと感じてこだわっていくと、突き抜けていくものです。(談)

あんどう・ゆうこ ●ジャーナリスト、ニュースキャスター。1958年千葉県生まれ。88年上智大学国際学部卒業、2008年同大大学院修士課程修了。大学在学中からキャスターやリポーターとして報道番組に携わる。「ニュースステーション」「CNNデイウォッチ」「ニュースJAPAN」「FNNスーパータイム」などを経て、00年から「FNNスーパーニュース」メーンキャスター。ジャーナリストとして「フィリピン政変」のリポートでギャラクシー賞個人奨励賞を受賞。著書に『以上、現場からでした。』『ひるまない』他がある。