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「初めての感動を与えられるか」
 真鍋大度が語る仕事―2
写真
データも表現に変えられる

見たことのないものを
見たい、見せたい

 デジタル表現の技術は持っている。アートや音楽での表現にも強い関心がある。しかしそれはどのようにしたら仕事になるのか。僕や仲間たちが長く試行錯誤したのはそこでした。アイデアをビデオ映像にして企業にプレゼンしても、「で、これ、どうやってお金にするの?」と当たり前に言われます。かろうじて、パーティー会場や企業の玄関ホールに映像を映すシステムを置いて「おもてなし」に使ってもらうくらい。でも、自分たちとしては広告やエンターテインメントのショーなどに十分活(い)かせると思っていました。

 かつて思わぬ評判を取った映像もあります。僕の顔に十数個の電極を貼りつけ、電気刺激で音楽に合わせて筋肉を動かす画像を動画投稿サイトのユーチューブに載せたら、世界中から約170万ものアクセスがありました。「こんな面白い動きになるのか。初めて見た」と話題になり、少しずつメディアアートなどの仕事にもつながっていったのです。やっぱり人は新しいものを見たい、だから面白いものを追わなければならない。ボーダーはそうやって越えていくものなんだと実感もしました。

 例えば、規模は桁違いですけれど、僕が目指すのはディズニーの映画やテーマパークランドの出し物を開発している研究所のような在り方。エレクトリカルパレードは、まさに光の無線制御がエンターテインメントで活かされた初めてに近い事例ですが、日々の技術開発は今も一瞬も立ち止まらない。僕たちも、研究開発部隊としてコンテンツや広告プロジェクト、ライブや舞台などに技術とアイデアを落とし込んでいきたい。そのために使う当てはなくても、新しい技術には次々と興味を持ち、大学や企業の研究室へは足しげく通い、頭の中にストックを増やし続けています。頼まれたわけでもないのに、仲間と果てしなく実験を続けるのも日常です(笑)。

実在の株式市場で
データを映像に

 昨年は、東京都現代美術館の企画展「うさぎスマッシュ展 世界に触れる方法(デザイン)」に、東証1部でリアルタイムの市場データを可視化、可聴化する作品を出展しました。数字の羅列でしかないと思われているデータが、実は人間の営みを見せてくれているとしたら面白いと考え、経済物理学・金融工学の研究者である尹煕元(ユンヒウォン)さんという方に監修していただいたものです。

 注文が入った時、買いと売りとが成立した時など、それぞれを異なった音と映像にしました。もちろん数字データはそれに応じて変化が見えるのですが、取引が成立していない場合の状況もここでは反映されます。取引開始の朝一のアクセスはババッと盛り上がり、少し落ち着いて昼休み前にまた盛り上がり、昼休みに入った瞬間に音と映像がふわっと止まるんです。そして昼過ぎからまた株価が動いて音楽と映像が始まる。何か事件のニュースが入ると音がうねるように響く(笑)。人間の感情や事情が流れ込んでいる経済交響曲みたいでしょ。それが日によっても違うのですから面白かった。

 僕はデータが大好きですが、それは社会や人を映すとても人間臭い蓄積だからかも知れません。アートも仕事もそこに通じていかなくてはならないのでしょうね。(談)

まなべ・だいと ●アーティスト/デザイナー。(株)ライゾマティクス取締役。1976年東京都生まれ。東京理科大学理学部数学科、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)DSPコース卒業。メディアアート、インタラクティブアート(観客が参加する芸術)、ライブ、広告などジャンルを問わずプログラミングを駆使して様々なプロジェクトに参加。ディレクションを担当した「Perfume Global Site Project」でカンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルのサイバー部門銀賞など受賞多数。