メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ここから本文エリア

朝日新聞デジタル > 転職 > 仕事力

朝日求人ウェブ
朝日新聞に掲載された求人情報
朝日新聞に掲載された求人情報
会員登録   会員登録すると直接応募やwebメールでの
送受信など色々な機能が利用できます。
ログイン  
パスワードを忘れたら ヘルプ
ご利用にあたって お問い合わせ
 
「初めての感動を与えられるか」
 真鍋大度が語る仕事―3
写真
遅い日本速度のハンディ

技術の進化で
人間の喜びは増す

 僕は、データを使うアート表現をすごく面白いものだと考えていますが、ヒューマノイドロボットなどにも、データ取得のためのインターフェースとしての面白さを感じています。例えば冷蔵庫に向かって「これが食べたい」とか「おなかが減った」と話しかける気にはならないけれど、ロボットになら「小腹がすいたけど冷蔵庫に何かあった?」などと話しかけるのは、ごく自然なコミュニケーションです。その結果、ウエアラブル(身に着けられる)端末とはまた違ったデータが取得できます。

 社会に仲立ちとしてヒューマノイドロボットが入ってくると「今日はつらいことがあってさ」みたいな喜怒哀楽や、自分の考えを語りかけるようにもなるでしょう。世界のロボットの研究者や技術者は、喜怒哀楽も含めて感情のような捉えにくいものを、これからどう定量化していくか、コンピューターが扱いやすいデータにしていくかという課題に取り組んでいます。人間をより深く知るための研究開発がさらに進化し、技術に反映できると、人類が今までに体験したことのないようなデータ中心の社会が生まれます。黎明(れいめい)期にいち早く問題提起するのがメディアアートの役割の一つかと考えています。

 ただ残念なことに、その世界のテクノロジーの動きに、日本企業やアーティストの多くは挑戦していないように僕には見えます。だから個人でボーダーを超えてもいいのではないでしょうか。個人で挑戦することができる環境がすでに整っていることを、僕はこの目で見ています。

日本では実感できない
速さと質の実力

 世界のエンジニアは今、全方位で、インフラ(基盤)やフロントエンド(入力プログラム)、スマートフォン、データ解析などに一通り通じた人が求められています。クリエーターやデザイナーも同じく、アート、デザイン、音楽、映像、ソフト、ハードに満遍なく精通している人が世界標準になっていて、僕の会社の人間や仲間もその力をつける努力をしています。そうでないと海外では戦えないからです。

 テクノロジーを駆使するクリエーターやアーティストが集まる国際的なフェスティバルや会議には、年に4回か5回ほど招待されますが、日本人やアジア人の割合は1割以下です。参加者の中には起業したばかりの会社もディズニー・リサーチやグーグルもいますが、日本の大企業は見かけません。表現のジャンルが、日本ではまだ新しいからということもあるのでしょう。

 言葉や距離の問題もあるかも知れませんが、もし、あなたがテクノロジーの表現を仕事とするなら、自ら手を挙げ、ハンディを超えてでも現地へ行く必要があるでしょう。もちろん日本にいたままオンラインでプレゼンテーションを見ることは可能ですが、やはり現地の人とコミュニケーションし、何か一緒にプロジェクトを組むような体験をしないと力はつかない。

 日本から企業派遣で来ている研究者と僕たちがプロジェクトを組むと、彼らは上司決済が遅くて足を引っ張られています。海外企業のスピードに全くかなわない。書類を作るくらいならプロトタイプ(試作品)を作ってしまえというのが世界レベル。本気でスピード感を取り戻す時です。(談)

まなべ・だいと ●アーティスト/デザイナー。(株)ライゾマティクス取締役。1976年東京都生まれ。東京理科大学理学部数学科、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)DSPコース卒業。メディアアート、インタラクティブアート(観客が参加する芸術)、ライブ、広告などジャンルを問わずプログラミングを駆使して様々なプロジェクトに参加。ディレクションを担当した「Perfume Global Site Project」でカンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルのサイバー部門銀賞など受賞多数。