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「初めての感動を与えられるか」
 真鍋大度が語る仕事―4
写真
火事場の馬鹿力も表現したい

人間の可能性を
最新技術で追う面白さ

 テクノロジーは、人間の欲求を実現していきますよね。例えば自動車や飛行機もそうですし、また、外からは見えない体の中を知りたいからレントゲンやCT(コンピューター断層撮影)ができたように。最近の医療分野では、全身まひになった人が電極を脳内につける手術をして、その思考によってパソコンを操作できるとか、ロボットのアームを動かせるとか、そういった試みもかなり進んでいる。

 病気やけがなどで不自由になった人間の体と向き合うから、テクノロジーが高度になっていくのは当然なことで、僕も、医療を始め様々な分野からとても多くの技術を学ばせてもらっています。互いの分野を超えた技術力を知ることは、メディアアートのような人を喜ばせるエンターテインメントにも重要で、日本もオープンになっていくべきでしょうね。

 人の身体能力の可視化や解析にも、僕は非常に興味があり、これからもっと面白い表現ができると思っています。

 身体能力の高みにいるスポーツ選手の例で言えば、サッカーのジダンのリズムの取り方が普通の選手では絶対にできない動きで、だから敵はジダンに抜かれてしまうのだとプロ選手から聞きました。では、ジダンにできて他の選手にはできない身体リズムをデータから読み解けないか。一体何が違うのか、何が起きているのか、解明することでスポーツの分野だけでなく新しい身体表現の可能性がそこから生まれるかも知れない。人が驚いてくれる面白い仕事にできそうです(笑)。

潜在的な能力が
現れる時はいつだ?

 五輪がやってきますが、僕は開会式のような華やかなものだけでなく、個々の競技を追求したい。フィギュアスケートの選手の滑走がリンク上にカラーの軌跡を描いた、僕のかつての仕事のように、テクノロジーを駆使して今まで見たことのないようなスポーツの見方、楽しみ方を作り出す機会を待っています。

 例えば、日本の高校野球は長いデータ記録の歴史を持っていますが、記憶に残る試合には、9回裏2死からの大逆転を果たした時のような、土壇場の底力が出てきた瞬間というものが刻み込まれている。そういう火事場の馬鹿力が湧き上がってくるのはどんな時なのか。解明された法則性が他にも適応できるかも知れない。そのデータを音楽や映像に変換してみたら新しい作品へのパターンが潜んでいる可能性もある。

 僕の仕事の基準は、自分の専門分野以外のフィールドに新しい視点を持ち込み新たな価値観、仕事をそこに作り出すということにあります。テクノロジーの意外な使い方で常識の壁に穴を開けて、新しいアイデアをひょいと投げる。「こんなことできないかなあ」と頼まれれば三度の飯も忘れて没頭します。それを実現するために、失敗が多発する自主プロジェクトも必要だし、どんどん先に進む技術も勉強しないと現場での居場所がなくなるかも知れない。仕事の受注が増えてすでに後には引けない状況ですが、新しい表現を見た瞬間の驚く顔が見られるならこの仕事を辞めません。

 僕のように迷いながらの長い道のりでも、前例がなくても、思い描く仕事への手探りを諦めないことですね。(談)

まなべ・だいと ●アーティスト/デザイナー。(株)ライゾマティクス取締役。1976年東京都生まれ。東京理科大学理学部数学科、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)DSPコース卒業。メディアアート、インタラクティブアート(観客が参加する芸術)、ライブ、広告などジャンルを問わずプログラミングを駆使して様々なプロジェクトに参加。ディレクションを担当した「Perfume Global Site Project」でカンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルのサイバー部門銀賞など受賞多数。