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「胸にある志に着火しませんか」
 白木夏子が語る仕事―4
写真
5年後をくっきりと描け

飛び込み営業で
商品とは何かを知った

 中米のウィルクス貝、ルワンダの牛の角。素晴らしい素材を見つけてから、それをジュエリーにふさわしい品質に磨き上げるまで、多くの時間を要しました。

 現地に研磨技術はあるものの、彼らは世界に通用するクオリティーを知りません。それはまた説明するのが難しい。発注して「磨き上がった」と日本に送られてくる素材を見ては心底がっかりし、また現地と話し合い。気持ちが行き違い、苦しい日々でした。それでも少しずつ彼らは成長していってくれた。諦めなくて良かったと思います。

 そして私は、納得できるジュエリーに仕上げ、販売ルートも何もない中でいきなりデパートのジュエリー売り場に行き、店員さんに「担当者に会わせて欲しい」と直談判です。私が売るしかないのです。断られる理由は、「うちには似たような商品がある」「置くスペースがない」「印象が暗い」「高い」などなど。

 そしてあるバイヤーさんの言葉にハッとさせられました。「あなたのような20代の肌なら似合うと思う。でも当店のお客様は50代60代。この色では肌がくすんで見える。身に着けた人が輝かなければジュエリーは完成しない」と。

 初めて目を開かされました。私が作っていたのは私好みの「作品」であり、お客様が喜ぶ「商品」ではなかった。途上国の素材を私のデザインで世に出す、無意識にそこをゴールにしていたのです。頭でっかちになってはいけない。仕事の原点は、それを欲しいと思ってくださる人に届き、喜んでもらうこと。それを知ることが仕事力なのだと思います。

ゴールは具体的に決め
ルートは自由に走る

 欲しい、と声に出していただけるようなジュエリー。それは私にとって生涯変わることのないテーマになりました。ミクロネシアの南洋真珠、コロンビアの24金、カナダのダイヤモンドなど、多くの素材を世界中から探し、事業は続いています。

 そんな中で、理想とする仕事と人生を実現し続けるための行動はどうするか。私なりのやり方は、数年後の自分のべストと思える姿をこれでもかというほど具体的にイメージしておくことに尽きます。命を懸け、一生を託して現在の仕事をやり遂げたいことに変わりはありません。支えてくださる方やスタッフには熱を込めて繰り返し語っています。しつこいくらい(笑)。

 そして私生活も含め、5年後にはこんな私でありたい、10年後はここまで実現したいということを言葉にしています。例えば子どもが2人いて、週に1回は家族で食事をし、年に1回はみんなで旅行し、家の中にはいつも花が飾ってあるとか、100項目くらい連ねています。

 なぜそうするかと言えば、人は毎日、仕事や生活などで選択を迫られ、生きていくからです。その岐路に立つ時に何をものさしにするか。私は仕事人としても、女性としても、毎日を丁寧に生きてゆきたい。美しいジュエリー作りで途上国と公正なビジネスをして多くの人にチャンスを生み出し、その商品でお客様に喜んでいただく。先に具体的な目標があってこそ、得られる仕事のやりがいと日々の心の安定だと思っています。(談)

しらき・なつこ ●(株)HASUNA代表。1981年鹿児島県生まれ、愛知県育ち。短大を卒業後、2002年ロンドン大学キングスカレッジにて開発学を修め、国連人口基金などのインターンや投資ファンド会社を経て09年から人と社会、自然環境に配慮したジュエリーブランド事業を展開。11年世界経済フォーラム(ダボス会議)が選ぶ日本の若手リーダー30人に選出される。著書に『世界と、いっしょに輝く』『自分のために生きる勇気』などがある。