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「『圧倒的努力』をしろ」
 見城 徹が語る仕事―2
写真
バカになって入れ上げろ

七転八倒こそ
仕事の正しい姿勢だ

 僕は高校時代、英語の試験を一番難しい英作文の問題から解いていました。誰でも解ける問題には興味が湧かず、それよりも一筋縄ではいかない難問に挑戦する方が断然面白かったからです。

 仕事も同じ。大学を出て就職した時から「他の人でもできることをしても意味がない。誰も成し遂げていないことをやろう」と決め、わざと苦しい方、不可能だと思える方へ身をよじらせて向かい、誰もやったことのないようなことに挑戦してきました。

 人が寝ている時に寝ないで働き、人が休んでいる時も休まなかった。他の人が「無理だ」と諦めたことでも、自分は諦めないと決めて必死に取り組み、何度も七転八倒し、血を吐くような思いもしてきました。でも、それが仕事に向かう正しい姿勢だと信じてきた。そういう圧倒的な努力をひたすら続けているからこそ、人を驚かせるような成果を生み出せてきたのだと自負しています。

 「圧倒的努力」はできるかどうかではなく、やるかやらないか。要は覚悟次第だ。僕は夢とか野心とかという物言いが大嫌いです。結果を出すことが善だと思い、突き進んできました。

 なぜそこまで仕事に熱狂できるのかとよく聞かれます。実は僕はとても臆病で幼い頃から死が異常に怖かった。今もなお「人はいつか必ず死ぬ」「人生の終着点は死なんだ」と思うと空しくてたまらない。その虚無感を紛らわせるため、何かに入れ込んでいないといられないわけです。決して熱狂したくて熱狂しているわけではないんです。

自分の内部の声に
耳を澄ませよ

 よく天職が見つからないと言う人がいますが、何か特別なものを探そうとしている時点でダメだと思う。まずは「自分の内部の声に耳を澄ませよ」って言いたい。そこから見えてくるよと。そして見えてきたことに対して、とことんバカになって入れ上げて欲しい。別に仕事でなくてもいい、異性でも麻雀(マージャン)でも何でも。

 人が入れ上げたものというのは、生涯の中で必ず報われます。その時は何かのためにやっていたわけでなくても、一生懸命打ち込んだことで報われないものはない。実際、僕は高校時代に入れ上げたものがいろいろ生きています。

 例えば音楽。ビートルズが大好きで受験勉強もそっちのけでのめり込んでいました。歌詞を丸暗記したり、訳したり、東京のファンクラブと交信したり。本当に夢中だった。それはその場では生きてこない。でも、あれだけビートルズに入れ上げた時間や思い入れが僕の体の中に宿っているから、音楽の素養がなくても、日本のそうそうたるミュージシャンたちと対等な関係を築けたわけです。

 恋愛もそう。あんなに一人の女性を好きになったことも切ない気持ちを味わったことも初めてだった。傷つき苦しんだけれど、お陰で僕は生きるという営みの歓喜と切なさを全身で学べた。他者への想像力や人の心をおもんぱかるという感性を、恋に入れ上げた経験が磨いてくれました。

 だから何でもいい、何かに入れ上げ、熱中して欲しい。壁にぶつかっても、逃げずにもがき悩み抜け。それがどれだけ大事なことかを思い知る時は必ず訪れます。(談)

けんじょう・とおる ●(株)幻冬舎代表取締役社長。1950年静岡県生まれ、慶応義塾大学法学部卒業。(株)角川書店(現KADOKAWA)を経て、93年に幻冬舎を設立。編集者として21年間に21冊ものミリオンセラーを世に送り出す。著書に『編集者という病い』『異端者の快楽』、藤田晋氏との共著『憂鬱でなければ、仕事じゃない』『絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ』などがある。最新刊は『たった一人の熱狂 −仕事と人生に効く51の言葉−』。