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「『圧倒的努力』をしろ」
 見城 徹が語る仕事―4
写真
ビジネスに人脈はいらない

講演会へ行っても
人生は好転しない

 僕は「人脈」という言葉が大嫌いです。聞いただけで虫酸(むしず)が走る。「人脈が大切だから」と異業種交流会やパーティーに出席しまくっている人がいますが、今すぐやめた方がいい。そんな所で通り一遍の表面的な世間話をしても無駄です。役に立たない名刺の山が残るだけ。そこから一体何が生まれるのか。

 講演会も同じ。人の話を聞いて自分の人生を変えようなんて他人任せも甚だしい。結局のところ、自分で苦しむつもりがないから交流会などにすがるのでしょうけれど。「これさえあれば必ず勝てる」という一撃必殺の最強カードをキラーカードと言いますが、このキラーカードの切り合いこそが仕事なんです。

 相手がどうしても欲しいキラーカードをこちらが握っている。それを惜しげもなく差し出せば、相手も見返りに自分のキラーカードを出してくる。キラーカードが多ければ多いほど多くの人と交錯できることになります。10出せれば「あいつはなかなかすごいね」と言われ、100出せれば「あいつは仕事ができる」となる。それが千になった時にカリスマや伝説になり、何もしなくても人は寄ってきてくれるようになります。

 30代後半、音楽家の坂本龍一と僕はそれぞれの戦場で多忙な日々を過ごしながらも、毎日一緒に朝まで飲み明かしていた。互いの感性をぶつけ合い、唯一無二の関係を築きました。仕事というのは「圧倒的努力」をした者同士の濃密な交錯です。依存し合うのではなく、互いに欠くことのできない存在として血を流し、命を張る。その「癒着」が大きな結果を生みます。キラーカードも何も持たない者同士が中途半端な関係を築いたところで何も生まれません。「人脈」では全く交錯しない。無意味に広がるだけです。

格闘できないヤツに
仕事は任せない

 幻冬舎も設立から20年以上が経ち、社員も増えましたが、基本的にはなるべく人を採らないということを実践してきました。少数精鋭の方がいい仕事ができるからです。社員に対して僕の価値観を押しつけることはありません。それぞれの人生を尊重したいので。ただ、困難に対して格闘しない人がいるというのが嫌なので、場合によっては辞めてもらうこともあります。

 仕事にはある程度駆け引きが必要だし、成果を出すためには時に「うそも方便」でもいい。そういう多少の腹黒さはあっていいと思います。ただ、一番肝心な時に腹黒かったり、うそをついたり、惰性でしか動けなかったりという人はダメです。根本のところは真っ当にやらないと。にもかかわらず、他者への想像力がなく「自分の好きな仕事しかしたくない」と平然と言ったり、惰性で業務をこなし成果を出せない人がいる。そういう人とは仕事をしたくないんです。

 「顰蹙(ひんしゅく)は金を出してでも買え」「憂鬱(ゆううつ)でなければ仕事じゃない」といった具合に、これまで数々の言葉を僕はいろんな所に残しています。でも、一番伝えたいのはやはり「正面突破」なんです。本気で成功したいなら逃げたらダメなんです、逃げたら。

 無理だ、無謀だとみんなが言うことに立ち向かう。血のにじむような圧倒的努力で。僕はこれからもそうやって決然と生きていく覚悟です。(談)

けんじょう・とおる ●(株)幻冬舎代表取締役社長。1950年静岡県生まれ、慶応義塾大学法学部卒業。(株)角川書店(現KADOKAWA)を経て、93年に幻冬舎を設立。編集者として21年間に21冊ものミリオンセラーを世に送り出す。著書に『編集者という病い』『異端者の快楽』、藤田晋氏との共著『憂鬱でなければ、仕事じゃない』『絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ』などがある。最新刊は『たった一人の熱狂 −仕事と人生に効く51の言葉−』。