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「人を喜ばせる創造を仕事に」
 猪子寿之が語る仕事―2
写真
仕事と仲間は切り離さない

お互いを必要とし合う
必死のチームで成長する

 大学時代の友人たちと一緒に創業してから14年になりますが、僕は仲間がいなかったら、自分という「個」が現在のように社会に存在できなかったような気がします。

 元々、指示を忘れずに守るといったビジネスマンの「当たり前」が苦手で、一人で就職していたら早い時期にはじかれていたでしょうね。その代わり僕にしかできない得意なこともはっきりとあり、ずっと一つの力になっている。合理性を追求した、世の中の均質なビジネスマンを数多く育てるという仕事モデルは、どう個人の力を活(い)かすのだろうかと思います。

 例えば、米国の西海岸にあるIT企業の一大拠点シリコンバレーでは、スタンフォード大学が世界有数の才能を持った工学エンジニアたちを輩出しまくっている。世界を見渡しても、(1)寛容で(2)才能のある人たちが集まりやすく(3)技術力がある環境の都市は経済力が上がるというデータが出ているそうです。効率重視に押し切られるのではなく、「面白いことになりそうだ、力を合わせればできるよ」という仕事への向き合い方は、まさにチームの働き方です。

 僕は、仕事の幸福はシンプルな構造でできていると思う。自分が好きな仲間と、目的とプロセスを共有していくことほど生きがいを感じることはありません。共に働く仲間が皆必死であり、お互いがいなかったらこの仕事は沈没するぞという危機を、成長によって乗り越えていく充実感。仲間であり続けるためには、自分の専門力を磨かなければならない厳しさもある。人間の能力に大差はありません。仲間とやり取りすることで無限の可能性が生まれますから、そのために発想力を培う環境を作ることは重要となりますね。

個人プレーでは
追いつかない

 今の時代の大変さは、専門領域の進化がとても速いにもかかわらず、何かを考えたり作ったりしようとすると、その一つの専門領域では解決できないということ。また、多くのことが、言葉だけで理解し合うのは不可能になってきているということです。

 例えばiPhoneのように、デザインが素晴らしいスマートフォンを初めて創ろうとする時、どのようなインターフェースが格好良くて、現代人にとって気持ちいいか、愛されるか、あらかじめ言葉の表現だけで決めておくことはできない。前もって、デザイナーとエンジニアの仕事の範囲を分けることも僕たちはしない。両者が一緒になって、実際に触り、体験し、最も格好良く、気持ちのいいと感じるプロダクトを手探りするしかないんです。

 つまり、言葉によるコンセプトなんて案外弱いもので、デザインなのか、アートなのか、手触りなのか、驚くような機能なのか、もう領域などないものが面白い。そうやって自由に発想して分かち合い、翌日はまたひっくり返し、ゴールまで旅をする。

 こうして仕事をしていると時間が経つのを忘れ、実に頭が良く回ります。たぶんどんな仕事の分野でも変わらないと思う。企業の中にあっても、専門性はちゃんと持ちつつ、チームになれる仲間を持ち、「さて、どうする」と集まれたら、仕事がいきなり面白くなっていきますよ。(談)

いのこ・としゆき ●“ウルトラテクノロジスト集団”のチームラボ代表。1977年徳島県生まれ。東京大学工学部計数工学科在学中に同級生らとチームラボを立ち上げ、2001年卒業時に創業。以後、プログラマー、エンジニア、数学者、建築家、デザイナーなど様々な分野の350人以上の専門家と共に、最新のテクノロジーを駆使して国内外で多くのアート作品やプロダクトを生み出し続けている。2015年ミラノ国際博覧会日本館での展示もスタート。