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「伸びしろを求め、学び続ける」
  中川 政七が語る仕事―3
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ブランドとは何だろう

会社も人もブランドになれる

 多くの人は、ブランドを大企業のものと思っているのではないでしょうか。ブランドは経営の重要な一部であり、それが一地方の小さな企業でも、確固たる「志」と変わる「覚悟」があれば必ずブランドに育てることができます。僕が力を注いでいるのは、まさにそのブランディングに取り組んでいくことです。

 ブランディングとは、伝えるべきものを正しく伝えることであり、会社の想(おも)いを実現するためのツールです。

 それを構成するのは、商品のデザインだけではありません。ユーザーは、伝え手の企業が考えるよりもはるかに多く、五感で良しあしを判断します。商品、店舗の印象やインテリア、販売員の身だしなみや立ち居振る舞い、ダイレクトメールやカタログ、メディアの評判、ロゴタイプなどのビジュアル、ホームページなど。

 これらは全てユーザーと、企業やブランドとの接点を担うものですが、それはまた、仕事をする人間一人ひとりにも通じることだと思います。

 例えば、デスクで問い合わせの電話に答えたり、素材調達や配送などに携わったりと、直接ユーザーの目に触れないような仕事でも、お世話になっている業者さんなどが見たあなたの仕事ぶりは会社の良しあしを判断する要素になるでしょう。

 自分の仕事力を磨くのは、与えられた役割にどこまで本気になれるかということではないか。挑戦する気持ちを持って、逃げずに前を向くこと。しっかりと顔を上げて歩み続けること。企業のブランド形成と同じように、働く人自身もそんな「覚悟」を持っているかどうかが重要であり、それを僕はスタンスと呼んでいます。

土壇場で頭をフル回転する

 僕は、社員を退屈させたくないと考えてきました。やりたいことがあるかとみんなに聞き、手を挙げてきた人にはほとんどOKを出します。与えられた場所できちんと力を発揮できる人には、様々な可能性が広がっている分、求められる仕事の質やスピードは高くなっていくものです。でも、追い込まれるほどに人の力はもっと引き出せると知って欲しい。

 当社のように日本の工芸品を手掛けていると、伝統のある老舗から小さな工房まで多くの作り手がつながってこそ製品化がされると分かります。当社は「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げ、自社だけでなく他メーカーのお手伝いもさせて頂いています。工芸業界全体を支えるためには、社員たちの活動における当たり前のレベルを高め続ける必要があるのです。

 そんな中で、うまく仕事が運ぶこともあれば、全くうまくいかないこともあります。そんな時こそ、先輩や知人の知恵を借り、頭を使い切ってとにかくやり抜く。そのスタンスこそが大切なのです。

 加えて、ビジネス実務を身に着けるだけでなく、変化し続ける世の中にあって勉強しアップデートすることも欠かせません。それは仕事の高みに進んでいくための知識の階段ですね。そして、いろいろな体験をしながら、他にはない自分の「強み」や自分の「型」というものを意識して見つけていってください。(談)

なかがわ・まさしち ●(株)中川政七商店代表取締役会長。1974年奈良県生まれ。京都大学法学部卒業。2000年富士通(株)入社。02年中川政七商店入社、08年13代社長に就任、18年3月から現職。日本初の工芸をベースにした製造小売り(SPA)業態を確立し、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンで業界特化型の経営コンサルティングを手掛ける。独自戦略で高い収益性を維持する企業として15年に「ポーター賞」を受賞。著書は中川淳名義の『経営とデザインの幸せな関係』など。