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「自分の価値を追っているか」
  中須賀 真一が語る仕事―4
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問題意識こそ燃料です

社会に何を残せるか

 日本人は、自分のキャリアについて考えないまま動く傾向が強いと思います。でも、仕事って人生の柱の一つだから、早い時期からキャリア形成の戦略を念頭に置いて欲しい。まず、若い人にそれを伝えておきたいですね。

 例えば米国で育った僕のめいやおいは、大学進学を前に高校時代から、自分の仕事をどう選ぶか、そのためにどこの大学がいいか、死ぬほど真剣に考えていました。僕も多くの相談に乗りましたが、キャリアプランを考えるベースは「自分は何をやりたいか、何を残したいか」です。将来性のあるビジネスを起こしたい、こんな製品を残したい、こんな研究をしたいなど何でも構わない。自分の人生の中で、まず一つの価値として何を社会に残したいか。そこを突き詰めて最初に勤務する企業を決めなさい、ということです。

 でも、一生そこにいる必要はないですね。欲しい能力がついたら次に移る。プランを描いておけば、ここで働くのはある技術を身につけるためと努力も我慢もできる。自分で戦略を立てたプロセスを確かめながら進むと、初めは難しいと思える仕事も楽しくなる。本当ですよ。自分が成長する年月ほど面白いものはないですから。転職も、長期的なプランを考えて動くことです。

 今、一つの問題だと考えるのは、日本では企業に入った後、周りに流されて自分が何をやりたかったかが見えなくなっていくことが多いのではないかという点です。それが嫌で最初から絶対やりたいことをやるのが起業家で、それも今の日本には不足していますが、企業に入っても、社会に残したい価値をどうすれば作り出せるか、つまりインプリメンテーションをどうするかを常に考えることが必要です。そのためには他企業との共同研究を上司を説得して企画するレベルから、転職する、あるいは自分に投資してもう一度必要な教育を受けるなどまで、道は幾つかあるはずです。海外では多くの人がそうやって道を切り開いています。

世界を見ていますか

 宇宙から地球を見ると青くて美しいですね。でも、更に近づいてみると広大な砂漠や過酷な環境の地域も見えてくる。氷と雪に覆われて人が住めない所もある。恵まれた日本にいると実感しにくいですが、そこには解決すべき問題を山ほど見いだせます。あなたがキャリアや自分のビジネスを考える時、日本の外に広がるチャンスも視野に入れてください。問題意識を世界に向けると、様々な商品やサービスのアイデアが出てこないでしょうか。

 私のやっている宇宙分野では、様々な人々や知恵をつなげることが大事です。一つの分野や限られた人だけの力で宇宙が実用につながることはありえません。宇宙を知らないなら知っている人の所へ行き、誰でも遠慮なくドアをたたいて構わない。一人の若者が、一つのビジネスプランを持ってJAXA(宇宙航空研究開発機構)へ出向く。それができる時代になってきました。

 問題意識って、仕事の推進力というか、エネルギーになりますね。自分で見つけた問題を問いていくプロセスこそ、やりがいがあって面白いからだと思います。大切なのは、自分で選んで考えた価値が真ん中にあること。多くの若い人から、それについて話を聞いてみたいと思いますね。(談)

なかすか・しんいち ●東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻教授、工学博士。1961年大阪府生まれ。東京大学工学部航空学科卒業。同大大学院博士課程修了後、日本アイ・ビー・エム(株)に入社し人工知能や工場自動化などを研究。東京大学先端科学技術研究センター助教授、同大大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻助教授を経て2005年から現職。専門分野は宇宙システム工学、人工知能の宇宙応用など。