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「対価を求めない」
村上憲郎が語る仕事-2
次代のルールを探す面白さ
現在の社会の仕組みを
超える瞬間がある

 「ピカサ」(静止画)や「ユーチューブ」(動画)のようなコンテンツ共有型のサービスは、常に著作権の問題と隣り合わせになります。日に何十万件も投稿されてくる、目もくらむほどの量のコンテンツが本来的に誰のものかと特定することは困難です。著作権は、著作物を創作した人物が自ら公表した時点で成立するわけですが、第三者が特定することは、論理的に不可能です。

 たとえばコンテンツオーナーさんが、これは私のコンテンツだと主張する。そのコンテンツを彼の娘と考えてみてください。「私の娘が家を出てしまったので、探してください。でも写真はありません」と言われたら探しようがない。それは親本人にしか見つけられないものなのです。

 ついこの間まで、私たちの生活には存在しなかったインターネットという大海をどう考えていくのか。あるいは、大切なオリジナルコンテンツを守り通すにはどうすればいいのだろうか。あらゆる人がインターネットにアクセスする今、私たちは著作権法をしっかりと守って、コンテンツオーナーの権利を保護しながら、同時にユーザーが望む利便性の方向を保ち続けなくてはなりません。ここに、次の時代の有るべき仕組みがあるはずで、それを探り当てる必要があるのです。

 そういった時代の変化を、コンピューターサイエンスの技術を用いて切り開いていくことに、私はとてもワクワクしますし、すべての仕事人にも、自分なりの使命を持って取り組んで欲しいと思っています。

次の一歩が
動き始めている

 昨年、グーグルが買収した動画共有サイト「ユーチューブ」も、もちろんこの著作権の問題を抱えています。正直に言って、日本におけるグーグルのすべてのオペレーションに対して全責任を負っていた私は、実は「困ったな」という気持ちでした。

 当時、すでに「グーグルビデオ」という独自の動画サイトがありましたが、日本での人気は「ユーチューブ」が先を行っていましたから、やはり問題の量も圧倒的に多かったわけです。しかし、問題の一端でも見えたら、とにかく動かなくてはなりません。

 作詞や楽曲の権利者団体を含めて、24団体からお問い合わせをいただき、「ユーチューブ」の創業者2人と協議を開始しました。幸いなことに、彼らは日本の状況をよく理解し、誠実に問題を解決したがっていたのです。

 今年2月に、創業者の2人を、彼らの海外出張としては最初になった、日本を訪問させ、そこでコンテンツオーナーさんに約束をさせました。「著作権の侵害を機械的に発見するソフトウエアを開発し、無償で差し上げます」と。それから8カ月、10月にお届けできる段階になりました。改良は続けていきますが、まずはご評価いただける水準のものをお届け出来ることになったのです。

 インターネットの世界に限らず、仕事をする人間は誰でも、時代が抱える問題との接点にいると私は思います。それを面白いと取り組むことに意欲を持って欲しい。それは、人の役に立つという仕事のだいご味に直結していますからね。(談)

むらかみ・のりお ●グーグル株式会社 代表取締役社長。工学士。1947年大分県生まれ。70年京都大学工学部卒業後、日立電子(株)に入社し、ミニコンピューターシステムのエンジニアとしてキャリアをスタート。 日本DEC(株)マーケティング担当取締役、データベースソフト大手インフォミックスの日本法人最高経営責任者などを経て、97〜 99年Northern Telecom Japanの社長兼最高責任者を務め、後にNorthern Networks Japanと改名された同社において、回線交換方式からIP事業転換を指揮し、2000年には同社最高の収入および利益を生み出して、01年中旬まで、Nortel Networks Japan の日本法人社長兼最高経営責任者。01年よりDocent社の日本法人であるDocent Japan社長を務め、03年4月より現職。グーグル http://www.google.co.jp