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「対価を求めない」
村上憲郎が語る仕事-3
始めたら、妥協でつまずくな
ゴールはやはりお客様の
満ち足りた笑顔だ

 検索サービスの仕事は、文字通り間違いなくサービス業です。しかし、なぜそれを無料で提供するのか。その大きな理由は、課金しようと考えてサービスを作ると、課金しやすいものにしかならない。つまり金もうけをしやすいような仕組み作りで終わってしまうということです。それでは、ピュアなサービス、サービスとしての究極を極めたものにはなりません。

 よくレストランなどで、ウエーターが不自然なほど丁寧だったりすることがありますよね。次にまたぜひ来て欲しいという職業意識は理解できるけれど、そのベクトルはお客様ではなくお金に向かっているのではないでしょうか。それも決して悪いことではないのですが、サービスとしては限界があると思われます。本来は「お客様が楽しく、おいしいお食事を堪能して頂きたい。その満ち足りた笑顔こそが、自分の喜びである」とはっきり自覚する人でなければ、レストランの仕事をしてはいけないとさえ私は思います。

 グーグルでは、社員の半数を占めるエンジニアを中心に、自分の時間の20%をアイデア創出に使うように「20%ルール」が設定されています。それは、会社の枠組みやプロジェクトを乗り越えた発想をうみだすことが重要だからです。自分にとっても、こんな便利なサービスがあったらいい、とまず考えてもらう。それは自分だけでなく、家族、友人、そして世の中のさまざまな人にとって本当にすばらしいサービスでなくてはならない。だから、妥協せず、ただひたすら完成度を上げてもらいます。原理的に言えばこれがサービス精神のコアというものだと思います。つまり、新しいサービスは、目の前の利益のためではなく、一人ひとりのユーザーに喜んでもらうため。そういうサービスにこそユーザーが集まることを忘れてはダメなのですね。

サービス精神の旺盛な
人材を求む

 ITの技術や知識、学業成績などの大切さは言うに及びませんが、さらにどうしても欠くことのできないのが個人のサービス精神です。実はこのサービス精神が、グーグルでの仕事力の大きな部分を占めるのではないかと私は考えています。

 グーグルの就職試験はなかなか厳しいものですが、その難関をクリアしてなお、面接官が最後に自問自答するのは、エアポートテストといわれるものです。「この人と2人のときに飛行機が飛ばなくなったら、飛行場で朝まで楽しく過ごせるか」というクエスチョン。相性の問題もありますが、それでも話が尽きないとか、いかにも興味深い話を繰りだしてくるとか、時間を忘れて過ごせるほどのサービス精神を持っているかどうかという架空のテストです。

 もうひとつ忘れてならないのは、コミュニケーション能力です。自分が考えたアイデアを形にするまでには、多くの人の知恵や技術が必要になってくる。これはITの世界に限ったことではありません。一人がまいたタネを育むには、多大な力の集約がいる。とことん人とのキャッチボールができない人は、やはり取り残されていくでしょう。

 仕事というのは、仲間や企業を通して、その向こうにいる世界中の個人とつながること。パワーのあるコミュニケーション力が求められるのだと心してください。企業は必ず、あなたがその力を磨いているか見極めているはずです。(談)

むらかみ・のりお ●グーグル株式会社 代表取締役社長。工学士。1947年大分県生まれ。70年京都大学工学部卒業後、日立電子(株)に入社し、ミニコンピューターシステムのエンジニアとしてキャリアをスタート。 日本DEC(株)マーケティング担当取締役、データベースソフト大手インフォミックスの日本法人最高経営責任者などを経て、97〜 99年Northern Telecom Japanの社長兼最高責任者を務め、後にNorthern Networks Japanと改名された同社において、回線交換方式からIP事業転換を指揮し、2000年には同社最高の収入および利益を生み出して、01年中旬まで、Nortel Networks Japan の日本法人社長兼最高経営責任者。01年よりDocent社の日本法人であるDocent Japan社長を務め、03年4月より現職。グーグル http://www.google.co.jp