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「イタくてもいいよね」
 鈴木おさむが語る仕事-1
写真
嫉妬は自分のものさし

人の夢を笑うな

 僕は高校生の頃に、放送作家になりたいという夢を持ちました。バラエティー番組に出ている芸人さんたちも面白いけれど、その番組を動かしている人がいることに気がついて、そちら側に行きたいと思った。でもどうやって入り込んだらいいのか分からず、たまたま放送作家が立ち会っている芸人さんのオーディションを見つけたので、応募して、審査会場で目の前にいるあこがれの放送作家に直接、自分の思いをぶつけてみたんです。

 これは周囲から見たら相当にイタいやつだったと思いますよ(笑)。方法が分からないから、芸人さんを目指している人々に紛れ込んでまで放送作家に会おうとするわけですから。結果的には受け入れてもらい、数はわずかでしたが構成を考える仕事の端っこに加えてもらって、チャンスを手にすることができた。

 食べられないのでアルバイトに精を出しながら大学に通い、放送作家の夢を追う毎日。大学の仲間は、僕の夢をかなり引いた目で見ていました。でも、バイト先ではヤンキー気質の仕事仲間が僕を応援してくれた。その温度差は大きく、大学には行かなくなりました。最初から、「夢を追うなんて今の時代には無理だろう」というような冷めた空気が支配していたんですね。本当はただ、空気を読みすぎて臆病(おくびょう)になっているだけ。それは自分を大事にしていることになるのか。いや違うだろうと僕は思うのです。現実的ではない夢を持つ人間は暑苦しいかもしれない。でもその反面、ちょっと妬(ねた)ましくもある。なぜそう感じるのか、自分の心を覗(のぞ)いてみるといいと思います。

焼きもちの対象を
はっきりさせよう

 この仕事を始めてから今日まで、あいつはすごいなと感じたり、ちょっと追いつけないかもと思うような才能をたくさん見てきました。僕は相当な焼きもち焼きなので、その存在がかなり悔しい。それで「嫉妬(しっと)年表」をつけようと思いつきました。

 人には見せられないけれど、19歳からスタートして自分の年齢を書き、その頃に妬ましいと感じた人を正直に書き出していくんです。名が挙がるのは当時僕よりもほんの少し上の仕事をしていた人で、チャンスがあれば追いついて逆転できそうなのにというポジションの人が多かった。あまりにも雲の上にいる人だと、嫉妬心ってわかないものらしい(笑)。

 簡単に嫉妬の気持ちが消える人もいたし、何年間も君臨している人もいましたが、それは生意気に言えば、「この人を超えられたと思う」という自己判断だけなのですね。つまり、それは自分で見つめている自分の成長の記録だった。嫉妬する人が長いこと変わらないっていうのは、その間は自分が成長していないということなのかもしれません。

 仕事をする以上は、夢というよりはもっと明確な目標が必要だと思うし、その目標をあいまいにしない装置として、嫉妬の気持ちはかなり正確な指標になると思っています。でもこれだって、イタいと言われるかもしれないね(笑)。けれどそこには、自分の本音に素直になるという大切な要素がある。空気を読んで周囲と折り合っていくだけの仕事でいいのか、自分の本音と出会わなくていいのかと、僕は言いたいのです。(談)

すずき・おさむ ●放送作家。1972年千葉県生まれ。19歳で放送作家デビュー。テレビ、ラジオ番組構成から舞台、映画の脚本、作詞、エッセーまで幅広く手がける。NTV「人生が変わる1分間の深イイ話」、CX「SMAP×SMAP」「森田一義アワー 笑っていいとも!」、ANB「雑学王」「いきなり!黄金伝説。」「もしものシミュレーションバラエティーお試しかっ!」などの番組構成、TOKYO FM「よんぱち48hours」にてラジオパーソナリティー、映画『ハンサム★スーツ』の脚本他多数。著書に『テレビのなみだ〜仕事に悩めるあなたへの77話〜』(朝日新聞出版)などがある。森三中の大島美幸さんと「『いい夫婦の日』パートナー・オブ・ザ・イヤー 2009」受賞。Webサイト http://www.osamushow.com