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固定観念から自由でありたい<松井道夫が語る仕事・2>

心に、商人の前掛けをかける

ビジネスマンは
商売人である

 スーツを着てネクタイを締め空調のきいたオフィスで仕事を続けていると、自分が商人であることを忘れていく人が多い。給料をもらっているから、働いていると勘違いをするのです。しかしそれは違う。働いているから、それに対して報酬が支払われているのです。今日自分がする仕事で、どれだけお客様を満足させ、自分の給料を稼ぎ出せるか考えるべきでしょう。

 商人としての自覚を忘れると、工夫するための頭も心も動かなくなり、気づかないうちに権威主義、形式主義に陥っていく。やがて変化が怖くなり、挑戦することが恐ろしくなっていくのです。人も企業も同じです。

 よく、利益は出ていないけれども価値の高いことをやっているんだと言う人がいる。しかし価値のあることなら必ず利益がついてくる。それが競争市場というものです。もし手がけている商売の業績がふるわないなら、お客様から価値がないよと言われているだけ。そこを直視せずに逃げているのです。

 商人の目的は利益を上げること。利益の多寡はお客様が決める。消費者には多くの選択肢があるし、お金を払う立場なのですから、好きなときに好きな商品を自由に選びます。一度選んでもらっても、翌日には別のほうが良いと言って離れていく。だから、どうやって常にその人のナンバーワンであり続けられるかにかかっているのです。

実業をめざし
虚業を排する

 ともすれば、社会に役立つ事業を実業、役立たない事業を虚業と区別しがちです。それでは誰がそれを判断するのでしょう。私は私なりの別の定義を持っています。

実業……顧客が必要と認めるコストで成り立っている業

虚業……顧客が必要と認めないコストで成り立っている業

 供給側の企業が実業か虚業かを、需要側の顧客が消費というフィルターを通して区分けするわけです。非競争市場ではこの区分けが出来ません。こうした競争なき市場で生きている者から、前述の社会正義うんぬんの言葉を聞きます。競争市場で生き抜くためには、虚業コストを排除することがポイントです。これをリストラと言うのです。

 これは情報革命が起きたことによります。その本質は何かと言えば、すべては「個」が中心になったという点に尽きる。自ら判断し行動する「個」のネットワークが中心となる。もうこの流れを無視してビジネスは考えられなくなりました。

 私は「天動説から地動説へ」と言っていますが、今まで供給側の企業主導で「個」を囲い込んでいた宇宙観が、通用しなくなった。何百万、何千万という需要側の「個」が中心となり、逆に企業を取り込むという宇宙観。まさにコペルニクス的転回なくして商売が出来なくなったと理解しています。

 となれば、組織の構成員たる個々の商人の発想も変えねばならないのは当然です。すなわち、「個」を囲い込むという発想を脱し、「個」から選ばれるという発想をしなければならないわけです。

 企業に勤めていても、あなたは商人です。自分のお客様を思い浮かべ、その人は何を求めているのか、自分が消費者なら何が欲しいのか。そうした商品やサービスを考え出して初めて商人としての義務が果たせられるのです。(談)

まつい・みちお ●1953年生まれ。一橋大学経済学部卒。日本郵船に11年間勤務後、87年松井証券入社、95年から代表取締役社長。セールスの否定、店舗廃止、通信取引特化による業務改革を断行。96年株式保護預かり料を業界で初めて無料化、98年インターネット取引システム「ネットストック」をスタート。インターネット証券取引最大手。2001年8月東京証券取引所第一部に上場。03年実績で14兆円弱の株の委託売買実績を達成。個人取引では大手証券をはるかにしのぐまでに成長。

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