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Heroes File
Vol.189 後編

 庶民の会話のやりとりで笑いを誘うのが落語。それに対して講談は、史実に基づいた軍記や武勇伝などの物語を独特のリズムで読む演芸だ。そこに笑いはほとんどない。ゆえに堅いイメージがあるが、松之丞さんはマクラで笑わせ、本編では時に激しく時に張り詰めた緊張感を漂わせながら物語の世界へ観客を誘う。

 その緩急ある高座に魅了され、講談への認識を改める人も多い。心掛けているのは、観客に予備知識がなくても楽しめるようにすること。「とにかくお客さんを置いていかない。難しい言葉も、くどくならない程度に説明します」

 そんな松之丞さんは、実は講談に出会うまでは何をやってもうまくいかなかったそうだ。「ずっと臆病で、何にも挑戦してこなかった。何がやりたいかも分からず、このまま人生を終えるのかなと思っていました」。それが講談を知って入門を決めてからは、心の持ちようが大きく変わった。「まず、どんなに恥をかいてもいいから前を向いて進んでいこうと思うようになりました。特に二ツ目の今は良質の恥をかける時期。縮こまっていてはもったいない」

 うまくなるコツは、変えること。同じことをずっとやっていると、滑らかに話せるようにはなるけれど成長がない。どこか一カ所でいいからセリフを増やしたり、間を変えたりと試すことで成長できると信じている。

 この世界へ飛び込んで11年。広く名が知られるようになった。高座にとどまらず、仕事の幅は広がってCDやDVDを出したり、ラジオやテレビなどの仕事にも精力的に取り組んだりしている。自分のためというよりも、講談界を元気にするためということの方が大きい。

 「8月に出版した『神田松之丞 講談入門』もその一環です。この本を読んで講談師を志す人が出てきてほしい」。実際、松之丞さんの講談をきっかけに後輩が3人できたそうだ。「彼らにもかっこつけるのではなく、松之丞はいっぱい恥をかきながらも懸命に挑戦しているな、生きているなって、いい背中を見せられるよう精進していきたいです」

 講談師は長期的に取り組める仕事だという。年齢を重ねるほど芸が磨かれ、人間性も豊かになっていくのがいいもんだと実感している。「30代、40代、50代でどうなっていたいかを計画し、行動できる。そうやって死ぬまで目標を持ち、芸を磨き続けられるのが何よりも魅力。もっともっと後進を育てていきたいですね」

 圧倒的な熱量で高座に臨み、プロデューサー的視点と行動力で講談界全体を見据える。それが松之丞さんを奮い立たせる源だ。

(井上理江=文 小山昭人=写真)
次回は広告企画「情熱人」でキリンビール(株)のパッケージデザイン担当者を紹介(前編・後編)。前編を9月23日(日・祝)に掲載する予定です。

神田 松之丞
かんだ・まつのじょう/1983年東京都生まれ。2007年に三代目神田松鯉に入門。現在は二ツ目。TBSラジオ「神田松之丞 問わず語りの松之丞」(日曜午後11時から)のパーソナリティー。著書の最新刊『神田松之丞 講談入門』(河出書房新社)が発売中。
「マイナビ転職」からもご覧いただけます。

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