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Heroes File
Vol.32 前編

舞台で自分を
磨き上げる

 今夏、取り組んでいる舞台劇「ロックンロール」は、「プラハの春」から始まるチェコ激動の時代を生き抜いた人々の物語。武田真治さんは、政治と自身の生き方との間で揺れる若者を演じている。

 「リアリティーのある表現のためには、重厚な時代背景や、自由が当たり前の今との違いをしっかり把握しなくてはと思い、大学の先生からレクチャーも受けました」

 セリフの意味を深読みし、考え込んでしまい、前に進めなくなることもある。しかし、共演の市村正親さんが「やっていくうちに分かることもあるんだから、とにかくセリフを口に出して一緒に練習しよう」と。その言葉を信じて、演出家と市村さんのペースに乗りながら、この芝居に没頭しているという。「舞台は、けいこ、本番と回を重ねるごとに作品も自分自身も磨き上がっていく。その感覚が好きですね」

 実はかつて、舞台が嫌で敬遠していた時期もあった。「『身毒丸』という舞台が精神的に相当しんどかったんです。例えば目をつぶすシーンがあったのですが、指をちょっと曲げて本当につぶせない自分がすでに許せない。お客さんにうそをついている気がして、いたたまれなかったですね」

 芝居や役作りがどういうものかも分からないし、何より自身の役の気持ちも理解できない。同時に心の奥底で人間としての権利を主張する自分もいる。うまく気持ちのバランスを保てず、その後9年、舞台から遠ざかっていた。

強くなれたのは
「めちゃイケ」のお陰

 武田さんの転機は2004年に出演した「夜叉ヶ池」という舞台だ。役者として身を削らなければいけないことと、そうでない部分の境目がようやく見えた。虚像の中で、リアリティーを追求することで真実が浮かび上がってくる。それがおもしろいとようやく感じられるようになった。

 「その後出演した『エリザベート』というミュージカルでは死神の役。以前の僕なら絶対できないと思ったはず。でもこの時は自然に居直ることができたんです」

 とにかくやってみよう、生きるためには居直りも大切だ。そう思えるようになったのは、バラエティー番組「めちゃ2イケてるッ!」のメンバーとずっと一緒に仕事してきたお陰だと武田さんはいう。「番組では、例えば誰かを傷つけても、得られる笑いの方が大きければそれが正解。もちろん誰も傷つけることなく笑いを取れる、スーパーゴールを決めるような瞬間もあるのですが」

 彼らは笑いのためなら何だってやる。そのプロ魂がいつしか自身にも備わっていた。

(井上理江=文 小山昭人=写真)
「後編」は8月15日(日)に掲載する予定です。

武田 真治
たけだ・しんじ 1972年北海道生まれ。90年俳優デビュー。92年ドラマ「NIGHT HEAD」でブレークし、映画、ドラマ、舞台で活躍する他、サックス奏者として多くのアルバムに参加。8月3〜29日に東京・世田谷パブリックシアターにて上演している舞台劇「ロックンロール」に出演。
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